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中国発展改革委員会が「自動車産業投資管理規定」案を公示 新エネ車産業への参入ハードルを引き上げ (18/05/30)
2018/5/30
中国【新エネルギー】

 国家発展改革委員会はこのほど《自動車産業投資管理規定(意見公募版)》を起草して、各地方政府に通達した。同規定案は自動車業界から幅広く注目を集めている。

 国家発展改革委員会の今回の通達は、自動車投資事業の参入基準を完備すること、事中・事後監督管理を強化すること、市場プレイヤーの投資活動を規範化すること、民間資本が合理的な投資を行うよう誘導すること、闇雲な建設や秩序なき発展を防止することが趣旨になる。

 そのため、国家発展改革委員会は今回の意見公募版の中で、自動車産業投資の「管理権限」を明確にするとともに、ピュアEV企業を設けて投資事業を行う企業法人が満たすべき8つの条件を提示している。当該投資事業の株主に対する最も厳しい条件として、「全ての株主は事業が竣工しかつ生産量が建設規模に達する前に資本を引き揚げてはならない」と規定している。

 蔚来資本(NIO Capital)の張君毅パートナーは取材に対し、今回の意見公募版により、自動車産業投資が最早2〜3年のことはなく、5年から場合によっては10年に及ぶ長期投資になり、「トップ企業」にますますリソースが集中することになると指摘した。

 今回の意見公募版が通達された背景には、関係政府部門が電気自動車投資の過熱を懸念していることがある。

 新エネ車に対する強力な政策支援を受けて、中国は2016年以来、米国を抜いて世界最大の新エネ車生産国にして販売国になったが、多くの自動車企業は収益を新エネ車補助金に依存している。

 工業情報化部が発表した2016〜17年の第1〜4期新エネ車補助金では、42.47万台の新エネ車を対象に補助金額は447.38億元に上った。

 「政策マーケット」がもたらす巨大な収益空間を目の当たりにして、多くの短期的な投機資金やホットマネーが次々と自動車製造に参入した。今回の意見公募版はこうした投資家の夢を覚まそうとするものである。

 張君毅氏によると、《自動車産業投資管理規定(意見公募版)》が施行されると、すでに投入されたホットマネーは期待通りに収益を得られないリスクに直面することになる。資本の回収が10年かそれ以上もの長期になれば、一部の資金は1、2年ほどで撤退しようとするだろう。

 特に規定案第4章第13条は建設規模について、ピュアEV乗用車は10万台以上、ピュアEV商用車は5,000台以上とし、この目標に達しないうちは株主が資本を引き揚げてはならないとしている。

 「成熟した燃油車企業にとっては、10万台規模に達することはわりと簡単だが、新エネ車企業にとって10万台の規模は難度が極めて高く、非常に大きな圧力になる」と新特汽車の先越CEOは指摘する。実際、2017年の新エネ車販売量上位10社のち、10万台を突破したのはBYDと北汽だけであり、BYDは11.4万台、北汽は10.5万台であった。第3位の上汽乗用車の新エネ車販売量は4.4万台であった。

 中国の新エネ車の段階的な目標は、2020年に生産販売量を200万台にすることであるが、企業の公開情報や各省、各主要都市の発展改革委員会の事業許認可公告をまとめた不完全な統計によると、2015〜17年上半期に国内で200件以上の新エネ完成車生産事業が実施され、投資額は1兆262億元に上った。公表された計画上の生産能力は2,124万台に達し、中国の2020年の新エネ車生産販売目標をはるかに上回る。

 先越氏の見方によると、今回の《自動車産業投資管理規定(意見公募版)》の公示により、自動車の生産能力過剰を有効に防止して、産業の本質に立ち返らせると同時に、電気自動車分野で優れた企業を育成して実務的な推進作用を発揮させることになる。

 意見公募版はすでに意見聴取段階を終え、《自動車産業投資管理規定》は2018年中に正式公布される。一部の新エネ車企業は発展改革委員会に意見や建議を提出しているとのことである。

 (毎日経済新聞 5月30日)