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中国
【石炭】

中国が石炭輸入制限を解除して米国からの石炭輸入を拡大か 豪州は対応の術なし (18/06/06)
2018/6/6
中国【石炭】

 中国が石炭輸入制限令を発してからわずか1ヵ月、今度は米国からの石炭輸入を拡大する方向で検討し始めたが、このため、オーストラリアが慌てふためき、頭を抱えている。

 中国は目下、米国からの石炭輸入を検討中であり、ウェストバージニア州が最有力の輸入先になる。中国にとっては高品位炭をより多く獲得するだけでなく、対米貿易黒字を削減する重大な譲歩になり、米国がエネルギー対中輸出によって獲得する利益を高めることになる。

 米国は石炭埋蔵量で世界の27%を占め、生産量は10%を占める。このことから世界の石炭産業において米国が重要な役割を占めていることが分かるが、世界のエネルギー構造が徐々に低炭素・環境保護型へと転換する中で、米国の石炭市場はボトルネックに直面している。国内では石炭生産量と消費量が持続的に低下し、電力消費に占める石炭火力発電の割合は、2015年の33%から2040年には26%に下がる。石炭の圧倒的な経済的優位は最早存在しない。

 しかし、幸いなことに太平洋の彼岸には中国市場がある。中国は世界最大の石炭生産国にして消費国である。2008年には石炭純輸出国から純輸入国に転じた。その原因として、第1に中国の石炭はカロリーが低く、リン、硫黄分が高いなどの特性があり、国の新しい環境保護基準を満たすことが出来ず、高品位炭は海外から輸入するしかない。第2に輸送力や中間業者のマージンなどのため、海運石炭コストは陸運石炭より低い。コスパの高い米国炭が中国でも売れる所以である。

 一方、石炭の埋蔵大国であり輸出大国であるオーストラリアは中国の措置に不満である。先月、中国は国内の石炭価格と生産量を梃入れするため、輸入制限令を打ち出し、南方の8港湾が石炭輸入制限措置を実施した。輸入炭を積んだ船舶の接岸禁止や石炭の通関の引き締めなどである。中国が門戸を閉ざすと、豪州炭は他に販路を求めざるを得ない。しかしながら、日本、韓国、インド等は長年にわたりオーストラリアから石炭を輸入しているが、中国に匹敵する買主は殆どいない。日本と韓国の石炭輸入量は余りにも小さく、膨大な市場を有するインドも高価な豪州炭を買いたがらない。

 オーストラリアの今年第1四半期の石炭輸出額は142.6億ドル、前年同期に比べ6.4億ドル減少した。速やかに突破口にたどり着くことが出来なければ、豪州炭が生き残る術はない。

 (鳳凰財経 6月6日)