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【石油・天然ガス】

中国の米国産石油に対する追加関税で月間10億ドル規模の米中石油貿易が破壊 (18/06/19)
2018/6/19
中国【石油・天然ガス】

 米中間の石油貿易はこの2年間で飛躍的に増加し、毎月の取引規模は今や10億ドル規模になっている。しかしながら、中国は米国から輸入する石油に追加関税を課すと威嚇しており、このことは両国間の石油貿易業務に打撃を与えることになる。

 米国のトランプ大統領は中国からの輸入商品に対して7月6日から高額の関税を課すと宣言、中国は6月15日、石油も含む米国のコモデティ商品に追加関税を課すと表明した。

 投資家の予想によると、米中貿易紛争によって米国の石油企業は損失を被る。そのため、エクソンモービルとシェブロンの株価は6月15日以来1〜2%下落し、米国原油価格は約5%下落した。

 米国の対中石油輸出は急速に低下する公算であり、このことは他の産油国、特にOPECとロシアにとっては有利に働く。

 OPECの筆頭であるサウジアラビアとロシアは15日、供給制限を緩和して輸出を増やすことを示唆した。

 中国が米国産原油の調達を減らすと、イランの石油販売にも恩恵が及ぶ。ワシントンは5月に発表した新しい制裁措置によってイランの石油販売を圧迫するよう図っている。

 「中国はこれを奇貨として一部の米国石油をイラン原油に切り替える公算だ」とJTD Energy ServicesのJohn Driscoll氏は述べ、今回の紛争において中国が米国原油をイラン原油に切り替えることになれば、トランプの逆鱗に触れると指摘した。

 中国がトランプの脅しに反撃したことは業界関係者によっては予想外であった。

 過去3年、米国の対中原油輸出は急増してきた。米国の生産量の増加はOPECとロシアの供給減少を補完する代替オプションになっていた。

 「(今回の中国の追加関税品目の)リストに原油が入ったことは予想外だった」と中国の大手国有石油企業の幹部は述べ、「我々はついこの前の政府の指示に従って(米国原油の)輸入を増やす準備をしていた」と付言した。同氏が指摘する政府の指示とは、米国の対中貿易赤字を削減するための中国政府の政策を指す。

 過去3年間において米国の原油生産量は大幅に増加したため、米国の原油輸出も激増が続いていた。

 トムソン・ロイターEikonの海運統計によると、米国の対中原油輸出額は急速に上昇し、2017年初頭は毎月1億ドルであったが、今や10億ドル近くに上昇した。

 中国が米国のエネルギーに追加関税を課すと脅しているため、米国の原油は中東やロシア等の原油よりも高くなり、最近急増した米国の原油輸出業務を断ち切る可能性もある。Driscoll氏は、OPEC及び非OPEC産油国が最大の受益者になり、石油価格が押し上げられるとの見通しを示した。

 (国際石油網 6月19日)