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中国
【石炭】

中国が「第二油田」開発 SNG産業の発展に本腰 (18/06/28)
2018/6/28
中国【石炭】

 石炭は天然ガス供給に新たな希望をもたらす。

 中国は石炭資源が豊かであるが、石油と天然ガス資源は乏しい。2017年には原油4億トン余り。天然ガス946億m3を輸入した。輸入量と対外依存度はいずれも年々上昇傾向にある。石炭の大量消費はスモッグ等の環境問題をもたらす。そのため、石炭をクリーンに利用して石油ガス供給を増やす方式は重大な意義を担っている。

 「中国の天然ガス需要は大きい。本事業は稼動以来、LNG貯蔵タンクが満タンになったことはない」。内蒙古匯能煤化工有限公司の劉建強総経理(社長)は言う。匯能SNG(石炭ガス化)事業は中国で2番目に建設を認可されたSNG実証事業である。合成天然ガス年産4億m3の第1期事業は2015年9月に稼動した。今年5月には年産16億m3の第2期事業も着工された。劉建強総経理の説明によると、同社が生産する合成天然ガスのメタン含有量は97%に達している。天然ガス1000億m3当たりの石炭消費は約2.2億トン、水消費は7トン足らずであり、当初の設計値よりも優れている。

 2017年末時点で内蒙古で認可されたSNG事業だけでも生産能力は280億m3に達する。内蒙古は優れた石炭液化油生産能力と合わせて、炭田を中国の「第二油田」にしつつある。

 技術は日増しに成熟しているが、中国は市場競争力や環境保護等を考慮して、当面SNG産業の発展に対して慎重な態度を取っている。「今のところ技術は産業化実証段階に留まっており、事業の許認可は極めて厳しい」と伊泰集団の張東海董事長(会長)は言う。
 
 既存のSNG事業はいずれも汚水処理施設を付設し、汚水は厳重に処理した上で循環使用を行っている。環境を保護し節水にもなる。

 他の工場と同様に、SNG企業もCO2等の温暖化ガス排出という課題に直面している。

 神華の年産100万トン石炭直接液化工場から10キロ余りの場所に付帯環境保護事業として中国初の二酸化炭素回収貯留(CCS)事業が建設されている。すでに30万トン余りのCO2が回収され地下1500メートルの塩水層に注入、貯留された。

 CO2を「ガス肥料」としてメタノール等のクリーン燃料にすることなど、CO2の排出を削減し資源として応用する新技術も普及や研究が進められている。

 「技術の飛躍によって中国、さらには世界のクリーン・コール産業の発展を促進し、石炭がもっと長期にわたって人類に福利をもたらすようにするのだ」と神華オルドス煤製油分公司の胡慶斌副総工程師は言う。

  (中国煤炭市場網 6月28日)