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【石油・天然ガス】

シノペックが今年冬のガス不足に備えて華北への供給を18億m3増加 (18/08/20)
2018/8/20
中国【石油・天然ガス】

 昨年冬に華北、華中の多数の地区が深刻な天然ガス不足に見舞われたが、今年冬も国内の天然ガス供給状況は依然楽観を許さないというのが業界関係者の一般の見方である。卓創資訊のデータによると、中国の今年冬の天然ガス需要は前年同期に比べ20%増加する確率が高い。

 中国石油化工(SINOPEC)は天然ガスの深刻な不足に備えて準備を前倒しで進めている。同社は今年冬に天然ガス供給を18億m3増やして、天然ガス需給ギャップをより良く緩和する。

 シノペックは次の4つの面から今年冬の天然ガス供給の増加を図る。

 1. LNG輸入の増加

 長期契約以外にLNGのスポット調達を拡大する。シノペックはLNG輸入量を最大限に増やしており、暖房シーズンには青島と天津の2ヵ所のLNGターミナルのフル稼動を確保する。また、広西自治区北海LNGターミナルもスポット調達を拡大して、冬季の備蓄に充てている。シノペックの3ヵ所のLNGターミナルの年間中継能力は900万トンに上り、120億m3の天然ガスに相当する。青島と天津のLNGターミナルは主に華北地区に供給している。

 2. 天然ガス生産の拡大

 シノペックのオルドス大牛地ガス田は今年冬に全面的に増産を進め、ガス供給量は50〜100万m3/日増える見通しである。勝利油田と中原油田の随伴ガス井も生産の恒常化を進め、100万m3/日増える見通しである。炭層ガス生産によりガス供給量は50万m3/日増えると見込まれる。

 3. 石油大手3社と共同でパイプライン網の相互連携と融通を強化

 シノペックの華北パイプライン網はすでに楡済線(楡林−済南)楡林ステーション及び安済線(安平−済南)安平ステーションで中国石油天然ガス(CNPC)との相互連携と融通を実現している。相互供給能力はそれぞれ400万m3/日と300万m3/日になる。また、中国海洋石油との間でも煙台中世パイプライン網を通して相互連携と融通を実現した。
 
 シノペックによると、華北地域のパイプラインガスユーザーの中で2つのガス源を利用するユーザーは60%以上を占め、相互供給方式により、CNPCとの相互連携と融通を実現している。

 また、今年9月にはシノペックの広西天然ガスパイプラインとCNPCの中緬パイプラインの相互連携事業が完成稼動し、シノペックの北海LNG資源の「南気北供(南方から北方へのガス供給)」を実現し、ガス供給能力は800万m3/日増える。
 
 さらに今年11月までにシノペックは天津LNG対外輸送基幹線南港バルブ室とCNPC港滄線(大港油田−滄州)の相互連携と融通を実現し、来年には済青線(済南−青島)膠州ステーションとCNPC泰青威パイプライン(泰安−青島−威海)との相互連携と融通を実現する。

 4. 工業企業をピーク調整に参画させてシノペックの冬季の供給を確保

 シノペックはピーク調整ユーザーだけでなく、沿線の直接供給のユーザー及び都市ガス公司が中継する大型工業ユーザーとも連携して、緊急期間に都市ガス公司の資源供給量を150万m3/日増やす。

 また、11月までに華北沿線の約4,000キロのパイプラインを全体的に増圧し、パイプライン在庫ガス量を1,000万m3増やす。10月上旬には「文96」ガス貯蔵庫へのガス注入作業を完了する見込みである。

 (中国能源網 8月20日)