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【新エネルギー】

中国 太陽光発電にグリッドパリティ時代は到来するのか (18/10/31)
2018/10/31
中国【新エネルギー】

 10月30日、国家能源局は2018年第1〜3四半期のエネルギー情勢について発表した。席上、新エネ・再エネ司の梁志鵬副司長は次のように表明した。国家能源局は再生可能エネルギー電力受入対策を高度に重視しており、今後は補助金の付かない風力発電と太陽光発電事業の建設を積極的に推進する。資源条件に恵まれ建設コストが低く市場の受入条件に優れる地区を優先して、国からの補助金を要しないグリッドパリティ(火力発電並みの売電価格)又は低売電価格の風力発電及び太陽光発電の一群の事業を確定する。

 補助金政策とベンチマーク売電価格の二重の保護を受けて、中国の太陽光発電産業は近年急速に拡張したが、補助金総額は絶えず拡大、再エネ発電補助金の不足額も持続的に拡大して、すでに1,200億元を超えている。新たな状況の下で、市場と産業が発展構想を調整するよう誘導することが必要になっている。太陽光発電の発展の重点を規模の拡大から質的向上へと転換し、技術の進歩を推進し、発電コストを引き下げ、補助金への依存を引き下げて、太陽光発電の質の高い発展を推進することになる。

 太陽光発電の脱補助金を背景に、グリッドパリティは太陽光発電産業の市場化を推進する鍵になる措置を見なされる。現在、太陽光発電のキロワットアワー当たりのベンチマーク売電価格は第1種資源区0.55元、第2種資源区0.65元、第3種資源区0.75元であり、火力発電や水力発電の0.3元に比べると依然高い。

 2018年9月に国家能源局が通達した《風力発電と太陽光発電のグリッドパリティ加速推進関連工作に関する通達(意見公募版)》は、各地方がグリッドパリティの系統連系と補助金の付かない風力発電と太陽光発電事業の建設を組織的に展開するよう求めている。

 実際、「5.31新政策」(脚注参照)と一連の推進政策の下で、太陽光発電の各プロセスの製品価格にはいずれも程度の差はあれ下落が生じ、太陽光発電の全産業チェーンのコストが下がった。このことは中国の太陽光発電のグリッドパリティ時代の到来を促す重要な要素になる。中国太陽光発電産業協会の統計によると、2007〜2017年の8年間(ママ)において、PVモジュールの市場価格は36元/Wから今や3元/W以下に下がり、92%下落したことになる。系統連系型PVシステム価格は60元/Wから7〜8元/Wになり、87%下がった。インバーター価格は4元/Wから0.3元/Wになり、92%下がった。

 同時に太陽光発電の電力受入状況も持続的に好転した。梁志鵬副司長によると、第1〜3四半期の太陽光発電の平均利用時間数は857時間、前年同期に比べ57時間増え、電力廃棄量は40億kWh、前年同期に比べ11.3億kWh減少した。電力廃棄率は2.9%、前年同期に比べ2.7ポイント下がった。

 江蘇蘇美達集団の蔡済波総経理(社長)によると、PVモジュールの大幅なコストダウンとPV技術の持続的な進歩に伴い、従来型エネルギーと比べた太陽光発電のコスト面の優位が徐々に具現化することになる。

 (中国能源網 10月31日)

 訳注 「5.31新政策」…国家発展改革委員会、財政部、国家能源局が2018年5月31日に公布した《2018年の太陽熱発電関連事項に関する通達》。2018年の一般太陽光発電所建設を当面見合わせること、太陽光発電補助金を速やかに引き下げることを打ち出した。新規太陽光発電所のベンチマーク売電価格を一律に0.05元/1kWh引き下げるとした。