1. HOME
  2. その他地域 のエネルギー

その他地域
のエネルギー

2023年まで世界の石炭需要は安定 インドの増加が欧米の減少を相殺 IEA (18/12/19)
2018/12/19
その他地域のエネルギー

 国際エネルギー機関(IEA)のレポートによると、欧米先進国はエネルギーの転換により石炭消費量が下がり、一方、インド等の新興国の石炭火力発電需要が持続的に上昇してこれを相殺し、2017〜2023年の世界の石炭需要は概ね安定し、1%の小幅の増加になると予想される。

 IEAによると、世界の石炭消費量は2年間の低下を経て徐々に上昇するものの、炭鉱業者は依然石炭需要の伸び悩みという状況に直面することになろう。

 「ますます多くの諸国が石炭火力発電の淘汰を主要な気候変動対策の目標として位置づけているが、他の諸国においては埋蔵量が豊富で価格が安い石炭は依然として電力の最優先エネルギー源であり続ける」とIEAは指摘する。

 IEAの予想によると、2023年の世界の石炭消費量は約54億トンになり、世界のエネルギーの約25%を占めるが、現在の27%を下回ることになる。天然ガスと再生可能エネルギーの価格が日増しに低下するに連れて、世界のエネルギーの中で石炭のシェアは持続的に低下する。

 これまで多くのレポートは、各国政府は気候変動抑制の措置を速やかに講じることが必要であり、さもないと将来の状況はさらに深刻になると指摘している。発電や製鋼など工業に用いられる燃料は地球温暖化の元凶と目されている。

 「化石燃料とは今後も長い間、わたってつきあっていくことになる」とIEA事務局長のFatih Birol氏は言う。

 IEAによると、石炭需要の伸びが最も高い地域は東南アジアであり、特にフィリピンやベトナム等の諸国は次々と石炭火力発電所を建設して経済発展を支えようとしている。

 しかしながら、IEAの予測によると、インドの2023年までの石炭需要の毎年の伸び率は約4%になり、過去10年間の6%以上の平均伸び率を下回るが、東南アジアの2023年までの石炭需要の年間伸び率は5.7%になる。

 一方、米国や欧州等の先進諸国はすでに石炭火力発電所の閉鎖を進めて、天然ガスと再生可能エネルギーの発展に転じている。IEAの予測によると、欧米諸国の向こう5年間の石炭需要は毎年2%以上下がる可能性もある。

 世界最大の石炭消費国である中国は近年多数の政策を打ち出して大気の改善を進めるとともに、工業大国からサービス指向型経済体への転換を計画している。そうしたところから、IEAは、中国の石炭火力発電の発電電力量は2020年に頭打ちになり、石炭消費量は2023年まで年率約0.5%下がると予想する。

 (中国煤炭資源網 12月19日)