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中国 国家石油ガスパイプライン公司が上半期設立の見込み (19/01/25)
2019/1/25
中国【石油・天然ガス】

 国家石油天然ガスパイプライン公司がようやく2019年の国家計画に盛り込まれた。『経済参考報』の取材から、国家発展改革委員会が先頃国家石油ガスパイプライン公司組織方案を議決したことが分かった。すでに方案は国務院に提出され、承認を待っているところである。今年上半期中にお目見えする見込みである。

 当面の構想によると、中国石油天然ガス集団(CNPC)、中国石油化工集団(SINOPEC)、中国海洋石油集団など国有大手石油ガス企業のパイプライン資産を分離して再編し、パイプライン輸送と販売を分離する。また、民間資本を導入することも計画されており、石油ガスパイプライン網の運営体制を改革し、パイプライン網への公平なアクセスを確保する。

 国家パイプライン公司の設立により、産業チェーンの他の領域でも新たな動きが発生し、石油ガス探査開発管理体制に関連する細則も次々と制定されることになる。中国の石油ガス産業にとって石油ガス改革の推進が主軸の1つになるというのが業界関係者の見方である。

 中国の石油ガスパイプライン網の建設と運営は少数の大企業に集中している。2017年末時点の国内の石油ガス長距離パイプラインの総延長は約13.3万キロ、うちCNPCが65%を運営している。シノペックは15%であり、中国海洋石油は最も短く、しかも天然ガスパイプラインに集中している。

 こうした高度独占状態のため、パイプライン網の建設、資源配分、供給保障や第三者への公平な開放は阻害されてきた。国家能源局が国務院発展研究センターや国土資源部とともにまとめた『2018年天然ガス発展白書』によると、2017年末時点の中国の天然ガス基幹パイプラインの総延長は約7.4万キロになるが、基幹パイプラインの間、基幹パイプラインと省クラスパイプライン網の間、沿海LNGターミナルと基幹パイプラインの間の相互の連携と融通のレベルは低く、地域ガス源の「孤島」や孤立LNGステーションが多数存在する。相互連携・融通の機能を備える中枢ステーションと双方向のガス輸送機能を備えるパイプラインは少なく、パイプライン網の圧力が異なり、余剰のガス源やLNGターミナルの有効利用が出来ない。

 2017年5月、共産党中央と国務院は「石油天然ガス体制改革の深化に関する若干の意見」を通達し、大手国有石油ガス企業の基幹パイプラインの独立を段階的に推進し、パイプライン輸送と販売を分離することを明確にした。また、パイプライン網への公平なアクセスの仕組みを整え、基幹パイプライン、省内及び省間のパイプライン網をいずれも第三者に公平に開放するとした。

 シノペック経済技術研究院が発表した『2019中国エネルギー化工産業発展報告』によると、国家石油ガスパイプライン網公司はパイプライン資産をパイプライン資本に転換することになり、その設立は3つの段階に分けて進められると予想される。第1に、CNPC、シノペック及び中国海洋石油集団傘下のパイプライン資産と職員を分離して新公司に移す。そして、各社のパイプライン資産の評価額に基づいて新公司の持ち株比率を確定する。第2に、新パイプライン公司への資産注入を行った上で、国家投資基金や民営資本などの外部資本約50%を導入する。この新たな資金はパイプライン網の拡張に充当する。第3に新パイプライン網公司の上場を図る。

 シノペック経済技術研究院産業発展研究所の羅佐県副所長は国家石油ガスパイプライン網公司が及ぼす影響について次のように指摘する。第1に、天然ガスの「輸送と販売の分離」を推進し、パイプラインと貯蔵輸送施設の相互の連携と融通を加速する。また、インフラの開放を促進し、統一的な資源の調整と配分を助長する。第2に、新パイプライン公司の成立後は、コスト監査が徹底され、パイプライン輸送の最高利益率に対する制限が貫徹されて、パイプラインタリフが下がる。

 国家石油ガスパイプライン網公司の組織は始まりに過ぎない。2019年エネルギー工作会議は石油ガスパイプライン網改革に本腰を入れることを打ち出した。最新版の「石油ガスパイプライン網施設公平開放監管弁法」の実施も徐々に近づいており、関係部門は情報公開、情報伝送、余剰能力の試算など関連付帯政策の策定や情報公開プラットフォーム構築の検討など基礎作業を進め、石油ガスパイプライン網施設公平監督管理規則体系が徐々に形成されつつある。

 中流だけでなく、産業チェーンの他の一環でも改革が推進されつつある。全国天然資源工作会議は2019年に石油ガス探査開発を強化するため様々な措置を並行して進めることを提唱している。先頃通達された「天然ガス協調安定発展の促進に関する若干の意見」は、石油ガス探査開発管理体制改革を深め、可及的速やかに関連細則を制定するとしている。石油ガス探査鉱区からの撤退の仕組みを厳正に適用して、鉱区の競争的譲渡を全面的に実行し、鉱業権の市場化譲渡を奨励する。

 中金公司のレポートによると、2019年の中国石油ガス産業の主軸は次のようになる。

  1. 上流の石油ガス探査開発がスピードアップし、資本支出の拡大が続くとともに、油価とのデカップリングが進む。これは主に中央の生産と備蓄の拡大政策に呼応し、エネルギーセキュリティを保証するためである。
  2. 石油ガス改革が持続的にされ、政策ボーナスがもたらされる。例えばタイトガス開発補助金など追加上流支援政策、国家パイプライン公司の設立、シノペックのサービスステーションの混合所有制改革などが産業競争構造を塗り替え、中国石油ガス産業の運営の効率化を促進する。

 (経済参考報 1月25日)