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サウジアラムコが浙江石油化工有限公司の株式9%買収 中国の石油製品小売ネットワークにも布石 (19/02/24)
2019/2/24
中国【石油・天然ガス】

 サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは中国で布石を強めている。

 2月22日、中国兵器工業集団及び盤錦金誠実業集団と100億ドルの合弁製油所事業で合意したサウジアラムコは華東地区でも重要な一手を打った。

 サウジアラムコのオフィシャル微信(ウィー・チャット)によると、同社は浙江省における下流業務を拡大するため、3件のMOUに調印した。まず、浙江省舟山市政府との間で浙江石油化工有限公司(浙石化)の株式の9%を買収することで合意した。具体的な買収額は発表されていない。

 浙石化は2015年設立の混合所有制企業であり、民営企業の栄盛石化が筆頭株主で51%の株式を有し、国有企業の浙江巨化投資有限公司と民営企業の浙江桐昆投資有限公司がそれぞれ20%、舟山海洋総合開発投資有限公司が9%の株式を占める。

 浙石化は年産4000万トンの製油化学一体化事業を建設中である。同事業は「国家計画が確定した石油化学基地製油化学一体化事業を民間資本に開放する」との国務院の2014年の提唱を背景とし、PX原料が外国から深刻なまでに掣肘されている問題の解決を目的とする。

 サウジアラムコの2つ目の合意文書は浙江巨化投資有限公司及び浙江桐昆投資有限公司と調印したものであり、サウジアラムコが浙石化の製油化学一体化事業に対して長期原油供給を行うというもの。また、浙石化の大型原油貯蔵施設を活用してアジア地区の顧客にサービスを提供する。

 3つ目は、浙江能源投資集団との石油製品小売ネットワークへの投資に関する合意であり、サウジアラムコと浙江能源投資集団は向こう5年以内に浙江省に大規模な石油製品小売ネットワークを確立する。この小売業務は製油製品の販売チャンネルとして浙石化と一体になる。

 サウジアラムコのオフィシャル微信によると、これは華東地区におけるサービスステーションの潜在投資を模索するとともに、それ以外の下流分野における潜在投資をも探るものになる。

 サウジアラムコのAmin Nasser CEOは「今回の合意文書は弊社の中国市場に対する公約を示すものであり、サウジアラムコがアジアの下流業務ネットワークの戦略統合を強化する上で有用だ」と述べた。

 浙石化の製油化学一体化事業は浙江省舟山市魚山島に立地し、総投資額は1,730億元、2期に分けて建設を進め、各期の原油精製能力2,000万トン、アレーン年産520万トン、エチレン年産140万トン、石油製品供給量600万トンになる。

 浙石化は将来的には第3期2,000万トンの事業も建設する計画であり、最終的には年6,000万トンの原油精製能力を形成して、世界クラスの大型石油化学産業基地になる。
 
 (界面新聞 2月24日)