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【原子力】

中国 3年凍結の原子力発電事業が再開へ 2019年だけで1000億元級の投資を牽引 (19/04/08)
2019/4/8
中国【原子力】

 4月1日、中国政府筋は3年ぶりに原子力発電事業の許認可を再開することを認めた。2019年中に原子力発電事業が続々と着工される。国の原子力発電発展目標によると、毎年6〜8基の原子力発電設備が着工される見通しである。

 データによると、フランスの国内総発電電力量の中で原子力発電は78%を占め、日本では30%を占める。一方、中国の国内総発電電力量に占める原子力発電のシェアは2017年にようやく4%に達した。中国の原子力産業の発展の余地は巨大である。第13次5ヵ年計画期だけでも原子力発電への投資は5,000億元を超える。2019年には一群の原子力発電事業が承認され、1,000億元近くの投資に波及する。

 「中国は安全確保を前提に引き続き原子力発電の発展を進める。今年は原子力発電事業が続々と着工される」。4月1日、中国原子力持続可能発展フォーラム2019年春季国際サミットにおいて、生態環境部副部長兼国家核安全局長の劉華氏が明らかにした。

 中国の原子力発電は2015年12月以来3年余りにわたり「許認可ゼロ」の状態が続いていたが、2019年2月になって福建省漳州原子力発電所1号機の環境影響評価報告が発表され、原子力発電事業再開の予想が強まった。

 「原子力発電事業の許認可の進展は電力過剰問題が関わる。ここ数年、中国の発電は供給が需要を上回る状態が続いており、原子力発電の電力消化は困難になっている」とアモイ大学中国エネルギー政策研究院の林伯強院長は言う。風力発電や太陽光発電は原子力発電に比べ相対的に規模が小さく、主力エネルギーにはなれない。そのため、原子力発電はやはり未来の発電の大きな担い手であり、原子力発電事業の再開もその辺りに真の原因がある。

 今回の取材から原子力発電所の新規建設事業はすでに重要日程に上っていることが分かった。

 生態環境部が3月18日に公示した「福建漳州原子力発電所1・2号機環境影響報告書(建造段階)」と「中広核広東太平嶺原子力発電所第1期事業環境影響報告書(建造段階)」の2つの環境影響評価文書は「これら設備は2019年6月に着工される計画であり、いずれも独自第三世代原子力発電技術『華龍一号』を採用する」ことを明確にしている。

 中国核工業集団の余剣峰董事長(会長)は今年の全人代・全国政治協商会議の会期中に「多くの事業はすでに着工条件が備わっている、後は許認可を待つだけだ」と強調した。余剣峰董事長は今回のフォーラムでも「華龍一号」技術はすでに量産化の条件が備わっていると説明した。余剣峰氏は、「華龍一号」の初の原子炉になる福清原子力発電所5・6号機及び海外初になるパキスタンのカラチK2・K3事業は計画通りか又は前倒しで完成稼動するとの見通しを示した。

 原子力発電の投資規模も巨大なものになる。余剣峰氏が明らかにしたところでは、2019年3月時点で中国国内で稼動中の原子力発電設備は45基、設備容量は4,589.5万kW。2018年の原子力発電の発電電力量は2,944億kWh、世界第3位になった。中国で稼動中又は建設中の第三世代原子力発電設備は10基に上り、世界の第三世代原子力発電設備の3分の1以上を占める。

 太平洋証券の予測では、2019〜20年に10基の設備が着工される場合、1基当たりの投資を200億元として計算すると、約2,000億元の直接投資に波及する。

 また、専門家の予想では、2020〜30年には中国の原子力発電設備規模は1.5〜2億kWになり、2030〜50年には3億kW増える公算である。原子力発電事業が牽引する投資も大いに期待される。

 (中国能源網 4月8日)