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中国
【石炭】

中国の一般炭供給増加がインドネシアと豪州の石炭輸出業者を圧迫 (19/05/02)
2019/5/2
中国【石炭】

 Fitch Ratings and CRU Groupによると、中国の一般炭供給の増加により中国政府は石炭輸入をさらに引き締めることになり、そのため海運による石炭価格が圧迫を受けるとともに石炭輸出企業の受注の不確実性が高まる公算である。最も大きな影響を受けるのはインドネシアとオーストラリアの石炭輸出業者である。

 中国国内の需要の軟化と国内供給の改善を受けて、中国の石炭供給の逼迫状況はやや緩和している。冬季の暖房シーズン末期に当たる3月中旬の住宅用電力消費量は低下し、また、華南地区の大雨により水力発電の電力供給が増えたことで、中国の石炭需要はすでに若干下がっている。CRUによると、石炭生産能力解消の減速や政府が推進する新規生産能力の速やかな稼動によって発電所の燃料費が押し下げられ、最近の数四半期において中国国内の石炭供給は徐々に改善している。3月中旬には中国大手発電集団6社の在庫は1,600万トンに上昇し、2018年の平均水準1,410万トンよりも13%高くなっている。

 国内の石炭供給の増加を受けて、中国政府は一般炭の輸入規制を強化する公算である。これは石炭輸出業者の受注がますます変動することを意味し、また、中国へ輸出する海運炭供給業者のリスクも高まることになる。中国政府は2017年から石炭輸入政策を調整しており、国内供給が充足している時期には石炭輸入審査を強化し、一方、国内供給がタイトな時期には石炭の通関スピードを速くしている。例えば、2019年2月からの中国の港湾の豪州炭通関遅延は日増しに深刻化している。

 海運による輸入炭は国内炭よりも依然として価格面で優位にあるものの、通関の遅延や輸入禁止のため、中国の需要家は海運炭を使いたがらず、ましで国内供給が充足している時期はなおさらである。

 オーストラリアの石炭生産業者は受注キャンセルのリスクに直面する恐れが大きく、本来中国へ輸出するはずの石炭を他の国に転売する可能性も一定程度ある。そのため、海運炭市場の価格、特に中国の石炭輸入業者が一般に購入するオーストラリアの中カロリー炭(約5500キロカロリー/kg)の価格が軟化する公算である。

 関連報道によると、インドネシアが中国へ輸出する石炭は、これまで中国の石炭輸入規制措置の影響は少なかったが、インドネシアの石炭生産業者も中国の海運炭需要の全体的な低下や、インドネシア国内の石炭生産量が増加する一方で国内需要が予想を下回るなどの要因を受けて、新しい市場を開拓することを迫られる。

 (財華智庫網 5月2日)