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【新エネルギー】

山西省で炭層ガス開発利用が急速に進展 (08/07/28)
2008/7/29
中国【新エネルギー】

 全国総量のおよそ3分の1に当たる10兆m3余りの炭層ガス資源量を埋蔵する山西省では、炭層ガス資源の開発と利用が急速に進んでいる。

 山西省の炭層ガス資源は泌水盆地と河東炭田を中心に分布している。国家能源局の張国宝局長は7月8日、山西省泌水盆地並びに内蒙古オルドス盆地の炭層ガス産業化基地開発利用計画が近日公布されることを明らかにした。山西省財政庁によると、山西省の炭層ガス開発利用企業に対して国庫から1m3当たり0.2元の補助金が交付されているが、山西省はその上さらに0.05元を上乗せしており、炭層ガス開発利用企業に対する今年の補助金は合計1億元に上る見込みである。

 山西省は代替エネルギーとしての炭層ガス利用を推進している。山西省の省都である太原市は2006年から炭層ガスサービスステーション建設計画をスタートさせた。当初は、20ヵ所のサービスステーションを建設し、1日当たりのガス供給能力を19万m3として、市バス1,000台、タクシー4,000台の需要を賄う計画であったが、その後、計画は拡大され、2010年までには45ヵ所のサービスステーションを建設して1日当たりのガス供給能力を30万m3とし、市全体のバス、タクシーや民間車両のガス需要を基本的に全て賄うことになる。現在、ガス用に改造したバスとタクシーが6,000台運行されており、全体の60%を占める。

 また、炭層ガス回収規模の最も大きい晋城市では、すでに2,000台のタクシーや自家用車が炭層ガスを燃料にするための改造を施されている。炭層ガス開発の大手である晋城煤業集団は「炭層ガス新幹線」と称する、大型ガストラックによる物流計画をスタートさせた。晋城市では100台余りの大型炭層ガストラックが運行されており、その規模はさらに拡大しつつある。なお、晋城煤業集団の炭層ガス回収量は日量100万m3を突破している。

 炭層ガスは価格面のメリットも大きい。太原市の炭層ガス小売価格は3.2元/m3、一方、オクタン価93ガソリンは最安でも1リッター6.07元で、炭層ガスとの価格差は3元に上る。なお、炭層ガス1m3のカロリーはガソリン1リッターに相当するとのことである。炭層ガスはガソリンに比べ、経済的であるだけでなく、クリーンであり、環境保護効果も大きい。

 先頃、山西省へ視察に赴いた発展改革委員会の高官は、山西省の炭層ガス投資ブームは日増しに高まっていると指摘している。泌水盆地炭層ガス産業化基地開発利用計画の公布も近い中、山西省の炭層ガス資源をめぐって、炭層ガス開発の老舗である中聯煤層気有限責任公司と、中聯煤層からの資本引き上げと独自の炭層ガス開発事業展開の意向が先頃明らかになった中国石油天然ガス股フェン公司(PetroChina)の競争はますます熾烈なものになるだろう。特にPetroChinaの動向には注目される。PetroChinaによる中国初の炭層ガスパイプラインはすでに着工されている。同パイプラインは年間輸送能力30億m3になり、炭層ガス資源地区と西気東輸天然ガスパイプラインを結ぶことになる。また、中石油華北油田分公司は山西能源産業集団と炭層ガス開発事業に関する合意文書に調印した。同事業の総投資額は14.46億元に上るとのことである。

 (華夏時報 7月28日)