天津市政府は23日、中国石油天然ガス集団(CNPC)がロシア側と天津臨港工業区における協力をめぐって年産1,500万トンの製油事業の提携で合意し、早ければ来月にも両国首脳が合意文書に調印する見通しであることを明らかにした。 中露が今回提携で合意した事業は、天津大港石化1,500万トン改造・拡充プロジェクトで、ロシア側企業はロスネフチになる。この提携により、中国におけるCNPCの合弁製油事業が本格的にスタートする。 在天津CNPC関係者によると、中露共同製油事業は2006年に協議が始まったが、その後、進展は遅かった。2006年3月、CNPCとロスネフチは、中国とロシアにおいて合弁企業を設けることで合意し、ロシアに「東方エナジー」を設立した。同合弁会社はロシアの石油・天然ガス資源の探査、開発が業務。しかし、中国における合弁会社設立は遅れ、昨年末になってロスネフチのボグダンチコフ社長が、CNPCと天津合弁製油所建設について技術経済論証を進めていることを明らかにした。また、両社は同事業のため、合弁で中露東方石化(天津)有限公司を設立した。 しかし、同合弁事業には出資比率が未確定であるなど懸案が残されている。中国側はロシアの出資比率を多くとも30%に止めるよう希望しているが、ロシア側は最低でも49%でなければならないとしている。 今年上半期、ペトロチャイナの製油部門の赤字は590億元に上った。国金証券のアナリストである劉波氏は、こうした状況は長くは続かないとの見通しを示している。石油製品の価格決定権を企業に付与すれば、製油事業は赤字にならないと説く。劉波氏は、通常の場合、原油1トンの収益は200元でなければならないとし、この計算だと、天津合弁製油事業の年間利益は30億元になる。 出資比率がどうであれ、今回の提携は短期的な利益よりも長期的な利益が期待され、中露双方にとってウィン・ウィンの協力になると平安証券のアナリスト張国君氏は指摘する。 さらに、アモイ大学エネルギー経済センターの林伯強主任は、ロシアは収益や営業収入よりもむしろ中国市場を重視していると指摘する。ロシアの石油企業にとって、現段階で市場が乏しいわけではないが、彼らは中国の原油消費の大幅な拡大がなければ、世界の原油市場は違った様相になると見ている。 一方、CNPCはロシア側との共同利益関係を構築することで、ロシアからの原油供給を安定的に確保することができる。特に、中国石油化工(SINOPEC)が上流業務を強化するのに対し、CNPCは下流における勢力拡大を図っており、各地で大型製油事業を次々に立ち上げている。しかし、CNPCの原油生産量は製油事業の拡張には到底追いつかないため、CNPCがもし安定した原油供給ルートを確保できず、高い価格で原油を輸入せざるを得ない場合、その製油プラントも操業停止の憂き目に合う。 そのため、CNPCは中国国内や海外における石油化学事業で、ロシアのみならず、カタール、ベネズエラ等の産油国との間でも提携を強化している。すなわち、「市場とエネルギーを交換する」戦略であり、今回のロスネフチとの提携もその一環である。また、CNPCはこの戦略によって経営リスクを低減できると、前出の林伯強氏は肯定的に評価している。 (上海証券報 9月25日)
天津市政府は23日、中国石油天然ガス集団(CNPC)がロシア側と天津臨港工業区における協力をめぐって年産1,500万トンの製油事業の提携で合意し、早ければ来月にも両国首脳が合意文書に調印する見通しであることを明らかにした。
中露が今回提携で合意した事業は、天津大港石化1,500万トン改造・拡充プロジェクトで、ロシア側企業はロスネフチになる。この提携により、中国におけるCNPCの合弁製油事業が本格的にスタートする。
在天津CNPC関係者によると、中露共同製油事業は2006年に協議が始まったが、その後、進展は遅かった。2006年3月、CNPCとロスネフチは、中国とロシアにおいて合弁企業を設けることで合意し、ロシアに「東方エナジー」を設立した。同合弁会社はロシアの石油・天然ガス資源の探査、開発が業務。しかし、中国における合弁会社設立は遅れ、昨年末になってロスネフチのボグダンチコフ社長が、CNPCと天津合弁製油所建設について技術経済論証を進めていることを明らかにした。また、両社は同事業のため、合弁で中露東方石化(天津)有限公司を設立した。
しかし、同合弁事業には出資比率が未確定であるなど懸案が残されている。中国側はロシアの出資比率を多くとも30%に止めるよう希望しているが、ロシア側は最低でも49%でなければならないとしている。
今年上半期、ペトロチャイナの製油部門の赤字は590億元に上った。国金証券のアナリストである劉波氏は、こうした状況は長くは続かないとの見通しを示している。石油製品の価格決定権を企業に付与すれば、製油事業は赤字にならないと説く。劉波氏は、通常の場合、原油1トンの収益は200元でなければならないとし、この計算だと、天津合弁製油事業の年間利益は30億元になる。
出資比率がどうであれ、今回の提携は短期的な利益よりも長期的な利益が期待され、中露双方にとってウィン・ウィンの協力になると平安証券のアナリスト張国君氏は指摘する。
さらに、アモイ大学エネルギー経済センターの林伯強主任は、ロシアは収益や営業収入よりもむしろ中国市場を重視していると指摘する。ロシアの石油企業にとって、現段階で市場が乏しいわけではないが、彼らは中国の原油消費の大幅な拡大がなければ、世界の原油市場は違った様相になると見ている。
一方、CNPCはロシア側との共同利益関係を構築することで、ロシアからの原油供給を安定的に確保することができる。特に、中国石油化工(SINOPEC)が上流業務を強化するのに対し、CNPCは下流における勢力拡大を図っており、各地で大型製油事業を次々に立ち上げている。しかし、CNPCの原油生産量は製油事業の拡張には到底追いつかないため、CNPCがもし安定した原油供給ルートを確保できず、高い価格で原油を輸入せざるを得ない場合、その製油プラントも操業停止の憂き目に合う。
そのため、CNPCは中国国内や海外における石油化学事業で、ロシアのみならず、カタール、ベネズエラ等の産油国との間でも提携を強化している。すなわち、「市場とエネルギーを交換する」戦略であり、今回のロスネフチとの提携もその一環である。また、CNPCはこの戦略によって経営リスクを低減できると、前出の林伯強氏は肯定的に評価している。
(上海証券報 9月25日)