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【石油・天然ガス】

深セン市の都市ガス料金値上げをめぐり市民の不満の声 深セン燃気集団が回答 (08/10/16)
2008/10/17
中国【石油・天然ガス】

 16日に開催される深セン市都市ガス料金公聴会を前に、深セン燃気集団は14日、記者発表会を開き、市民の不満の声に次のような回答案を示し、今回の値上げが合理的であると主張した。以下、想定問答。

 市民の質問:深センのガス料金は北京、上海、広州に比べて高いのに、なぜ値上げの必要があるのか。

 回答:現在、深センの住民用都市ガス試行料金は3.5元/m3である。深センと同様に広東LNG事業のガス源を使用する広州の3.45/m3という料金に比べるとやや高いものの、東莞の3.6元/m3や仏山の3.85元/m3に比べると安い。深セン市の都市ガスユーザー数は広州と基本的に同じレベルであるが、広州市政府は都市ガス網に深セン市の3倍余りにあたる9億元超を投資した。深セン企業の投資した部分は広州よりも多く、操業コストは相対的に高い。西気東輸ガスが導入されていない周辺の省・自治区の都市と比較した場合、深セン市の都市ガス料金ははるかに低い。例えば、広西自治区の南寧は5.85元/m3、桂林は5.50元/m3、江西省の吉安は5.60元/m3である。

 西気東輸プロジェクトをガス源とする北京(2.05元/m3)や上海(2.10元/m3)に比べると深セン市の都市ガス料金は確かに高いが、直接比較することは出来ない。第1に、天然ガス調達コストが異なる。北京のシティゲート価格は1.28元/m3、上海は1.31元/m3であるのに対し、深セン燃気集団の平均調達コストは2.74元/m3に上る。第2に、政府の投資規模が異なる。北京市政府は都市ガス網やステーションに100億元余り投資し、上海市は80億元余り投資した。しかし、深セン市政府の投資はわずか3億元前後でしかない。第3に、ユーザーの規模とガス使用量の格差が大きい。北京、上海のユーザー数はいずれも400万戸を超えているが、深セン市はわずか85万戸である。

 深セン市のガス料金値上げという表現は正確ではない。なぜなら、これまでの料金はあくまで試行料金であり、今回決定されるのは正式料金だからである。

 これまで、深セン燃気集団の契約ガス(広東大鵬との長期契約)とスポット市場から買い入れる高価なガスの比率は8:2であったが、天然ガスユーザーの大幅な増加にともなって、今年1〜8月の比率は6:4に変化した。加えて、天然ガス価格高騰のため、深セン燃気集団が高価なガスを調達するための支出は大幅に増加している。しかし、値上げ後に一般家庭ユーザーのガス代は毎月数元増えるだけである。

 市民の質問:天然ガスの発熱量は本当に石油製ガスよりも大きいのか。

 回答:深セン市計量品質検査計測研究員のサンプル検査によると、深セン市の液化石油ガスの発熱量は102.07MJ/m3、天然ガスは36.98MJ/m3であり、液化石油ガスは天然ガスの2.8倍に当たる。つまり、1m3の液化石油ガスは天然ガス2.8m3に相当する。従って、天然ガスに転換後、ユーザーの天然ガス使用量は従来の石油製ガスの2.8倍になる。しかし、天然ガスの単価は液化石油ガスの18.8%に過ぎない。実際の統計データから見ても、深セン市民の天然ガス転換後のガス代は液化石油ガスに比べて40%以上安くなる。

 市民の質問:ガス料金値上げは第三者機関の審査があるのか。

 回答:市物価局認証センターが関連規定に従ってコストの審査を行い、監督審査報告を提出する。

 市民の質問:国際石油価格が下落しているのに、なぜ値上げするのか。

 回答:深センの都市ガスで使用されるオーストラリアの輸入天然ガス価格は25年間は変わらず、国際原油価格の変動とは関係がない。しかも、天然ガスは石油の副産物ではなく、その価格も原油価格の変動に従うわけではない。10月に深セン燃気集団が買い入れる(広東大鵬との契約外の)天然ガスは依然6.59元/m3に上っている。

 市民の質問:中国国内にも天然ガス生産地があるのに、なぜ遠路はるばるオーストラリアから輸入しなければならないのか。

 回答:天然ガス産業の発展に力を入れることは中国の重要エネルギー政策の1つであるが、いつ、どこで、どのようなガス源の天然ガスを使用するかは、国家エネルギー戦略によって決定される。広東地区がオーストラリアの天然ガスを輸入する理由は、当時は未だ第2西気東輸パイプライン建設計画が確定していなかったからだ。当時の国務院指導部は安定供給を確保するため、オーストラリアとの天然ガス輸入契約を決定した。当時調印された深セン向け契約価格は1.6302元/m3であったが、現在、国際、国内天然ガススポット価格は当時の契約価格をはるかに上回っている。こうした低価格で契約できたことは深セン市民にとって幸運であり、深セン市民の天然ガス消費支出は大幅に下がることになった。なお、第2西気東輸パイプラインはトルクメニスタン等の中央アジアから天然ガスを輸入して、広州、深セン等の都市にも供給することになる。深センへの供給は2011年下半期から開始される予定だ。

 市民の質問:「公聴報告」によると、会議費、出張費、通信費はいずれも数百万元に上っている。企業の浪費のツケを市民に回すというのか。

 回答:深セン燃気集団は深セン市政府が経営権を有する中外合弁企業だ。弊社は経営管理、コスト引き下げに全力を挙げている。弊社の労働生産性や経営コスト等の主要指標は全国の同業種の中でもトップクラスであり、浪費問題などはあり得ない。

 市民の質問:深セン市の都市ガス建設には市政府が出資したとのことだが、深セン燃気集団は今でも公的財政支援を受けているのか。

 回答:都市天然ガスパイプライン網敷設の当初、市政府は3億元の建設費を出資したが、これは総投資額の10数%に過ぎない。資金の80%は企業が調達したものであり、基本的には融資に依存している。深セン燃気集団は開業以来、政府から経営に対する助成を受けたことはない。天然ガスへの転換に当たって、市政府は2.8億元出資したが、これはユーザーに直接給付されたものであり、深セン燃気集団とは関係ない。

 市民の質問:競争のない独占企業だから、値上げしたいときに好き勝手に値上げできるのか。

 回答:都市ガス事業は自然独占事業であるが、行政独占事業ではない。ガス料金は政府の管理統制を受け、燃気集団が好き勝手に値上げできるわけではない。企業が値上げするには、合理的な根拠を打ち出し、公聴会を申請し、第三者機関の審査を経た上で、法定手続きに従って進めなければならない。

 (深セン新聞網 10月16日)