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【石油・天然ガス】

【論説】CNPCが世界各地で天然ガスを獲得 ロシアの天然ガス値上げに対抗 (07/09/25)
2007/11/22
中国【石油・天然ガス】

 中国石油天然ガス(CNPC)は、ロシアの天然ガス輸出価格引き上げに対応すべく、ミャンマーやオーストラリアで大口天然ガス契約を次々と成立させている。

 9月16日、CNPCはインド、バングラデシュ、タイ等を抑えて、ミャンマー近海ガス田の天然ガス新規増産量を獲得した。ミャンマーは世界第10位の天然ガス埋蔵国であり、2005〜2006年だけでも114.5億m3の天然ガスを産出した。CNPCが今回獲得したガス源はラカイン州沖の海上A-1鉱区とA-3鉱区。同鉱区は、韓国の大宇、インドのONGC Videsh並びにGAILとの共有であり、埋蔵量は5.7〜10億立方フィートと見られる。

 CNPCはオーストラリアでも、Oil Search社の権益買収を計画している。競売価格は50億ドル以上。Oil Search社はパプア・ニューギニア、イエメン、エジプト、リビアに石油備蓄を有しており、昨年末時点の天然ガス確認埋蔵量は概算9.42億バレル原油相当量に上る。

 また、CNPCはオーストラリアの石油・天然ガス最大手であるウッドサイド・エナジーとの間で、年間供給量200万トン、契約期間15年のLNG契約に調印した。これより先、9月4日には、シェルとの間で、契約期間20年、年間100万トンのLNG購入で合意に達した。

 CNPCが海外で調印した天然ガス大口契約の価格はいずれも国内の現物販売価格を上回っている。

 中国能源網CEOの韓暁平によると、CNPCの購入価格は国内価格より高いが、それでも日本の購入価格に比べると安い。CNPCが高い価格で天然ガスを購入する背景には、ロシアの動きがある。天然ガス採掘量の5分の1を占めるロシアは今年末に天然ガス輸出価格を10%引き上げるよう計画している。このため、世界の天然ガス価格に一定の影響が及び、中国はその矢面に立つことになる。

 中国はロシアから1000m3当たり150ドルで天然ガスを輸入するよう希望し、ロシア側とも口頭での合意に達していたが、しかし、未だ正式の契約には到っていない。その後、ロシアは何度も価格引き上げを図ったため、中国側が150ドルで購入することは困難になった。

 一方、ミャンマーとの天然ガス共同事業の進展と四川省での大型ガス田発見によって、四川のガスをパイプラインにより貴州へ導入する計画や、長期的にミャンマーの天然ガスを雲南経由で貴州のパイプライン網に入れる計画を進める上で、ガス供給源の見通しを立てることが出来るようになった。

 CNPCは、中国とミャンマーのエネルギー協力について自信を深めた。今後2、3年以内にミャンマーと、さらにトルクメニスタンからの天然ガス輸入が実現すれば、CNPCはロシアとの交渉もより有利に進めることが出来る。

 今年年初の天然ガスと原油の比較価格で計算すると、中国国内の天然ガス価格は原油価格のわずか30%に過ぎないが、一方、国外では60〜80%になる。中国の天然ガス価格が資源の不足や環境コストを反映出来ていないことは明らかである。

 天然ガス輸入において利益を度外視することにより、天然ガスの需給ギャップはますます激化する。中国が中央アジアとロシアから長距離パイプラインによって輸入する天然ガスは重要な供給源になるが、国内の天然ガス供給を増やすためには、政府が国内天然ガス価格を引き上げ、天然ガス輸入というビジネス活動が利益を出せるよう保障しなければならない。

(中国石油新聞中心 9月25日)