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【エネルギー全般・政治経済】

中国 工業生産統計と電力使用量統計の公表ルートを一本化 (09/05/21)
2009/5/22
中国【エネルギー全般・政治経済】

 国家統計局と、中国電力企業聯合会を管掌する国家能源局が先頃会議を開き、両部門のデータを公表するルートを一本化して、データに対する説明をまとめて行うことになった。消息筋によると、両部門のデータの新たな公開方法は近日中に打ち出される。

 中国の4月の全国電力使用量の伸び率が3.63%のマイナスであったのに対し、同月の全国一定規模以上の工業付加価値生産額の伸び率は7.3%のプラスになり、その差は11ポイントに広がっている。

 中国電力企業聯合会は毎月中旬に前月の電力使用量をウェブサイト上で公表するのが通例であるが、20日時点で4月の電力使用量は未だに公表されていない。未公表の理由は、国家統計局の発表する工業付加価値生産額と中国電力企業聯合会の発表する電力使用量の間に度々乖離が生じ、多くの投資家が疑問を投げかけているからであるとされる。国家統計局と国家能源局が統計データの公表と説明を一本化することにしたのも、こうした業界の猜疑に応えたものであろう。

 工業付加価値生産額と電力使用量の乖離は、今年に入ってからすでに常態になっており、今年第1四半期の公式統計においても、全国電力使用量が前年同期比4.02%減少したのに対し、工業付加価値生産額は5.1%増加した。

 こうした現象には政府の関係部門も注意を払っている。国務院発展研究センター・マクロ経済研究部の張立群研究員は国家統計局のウェブサイトにおいて論文を発表し、電力使用量と工業付加価値生産額の乖離は経済構造に変化が生じためと指摘しているが、こうした解釈は政府の公式見解と見なされている。つまり、2003年以降の経済成長において、急成長する重化学工業の電力需要は極めて大きく、そのため発電量の伸び率が経済成長率を上回っていたが、当面の重化学工業の調整は必然的にこれまでの発電量と経済成長の関係を一変させ、発電量のマイナス成長と経済のプラス成長という現象をもたらしたというわけである。

 しかし、こうした張立群研究員の観点に対して、多くのアナリストは、2つのデータの乖離を招いた原因は複雑であり、経済構造の変化のみに帰することは出来ず、したがって経済構造の変化だけで大幅な乖離を説明することは出来ないと指摘している。例えば、中国電力企業聯合会のレポートからも明らかなように、非鉄金属、化学、建材など4大エネルギー多消費産業は依然として発電量と電力使用量の急成長を牽引する主要なエンジンであり、2008年の全国電力使用量に対する工業用電力の寄与率は、前年に比べ27.93ポイント低下したものの、依然として52.71%にも達している。このことは、工業、特に重工業が経済発展と電力使用量において今なお重要な位置を占めていることの現われである。

 (毎日経済新聞 5月21日)