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【中露】ロシア、対中天然ガス輸出にも「石油と融資の交換」方式を 背景にはガスプロムの金詰まり (09/06/19)
2009/6/19
中国【石油・天然ガス】

 天然ガス分野の中露協議も「石油と融資の交換」方式で

 ロシア大統領メドベージェフと中国国家主席・胡錦濤の会談後、「天然ガス分野の協力に関する了解覚書」が調印された。

 メドベージェフ大統領は会談後の記者会見において、「一年前に中国を訪問した際に胡錦濤主席と協議決定したメカニズムに感謝する」と述べ、「このノウハウをその他の分野、例えば天然ガス分野にも適用することを希望する」と強調した。メドベージェフはこのメカニズムについて具体的に説明しなかったが、エネルギー担当副首相セーチンは、このメカニズムとは20年間にわたる総計3億トンの対中石油供給を指すと説明した。また、セーチン副首相は、天然ガス分野における具体的な協力について、10月に中露政府間交渉を行うことを明らかにした。

 アナリストは、中露両国が天然ガス分野においても「石油と融資の交換」に倣った方式を適用する公算が大きいとしている。

 専門家によると、ESPOパイプライン(東シベリア−太平洋パイプライン)は、中国が石油パイプラインに投資することでロシアのエネルギー・資源を獲得する前例になり、中露の天然ガス協議についてもこうした方法を取ることが出来る。より重要なことは、ガスプロムがこれによって欧州向け天然ガス輸出に伴う国境通過のリスクから脱却するとともに、これを利用して欧州を牽制できるということであり、そのため、対欧輸出に代わる代替案を模索することは必然の流れになる。現在なすべきことは、中露双方が受け入れ可能な方案を見出して、双方の資源が有効に利用できるようにすることである。

 ロシアの天然ガス分野は巨額の投資が必要

 ガスプロムのアナネンコフ副社長は17日、天然ガス価格をめぐって中露両国の協議が確定していないことを理由に、従来の計画通りに2011年から中国へ天然ガス輸出することは不可能であるとしたが、価格問題で妥結すればロシアは直ちに対中天然ガス輸出計画に着手すると表明した。

 この点について、アナリストは、ロシアの天然ガス探査・開発には巨額の資金が必要であり、ガスプロムの資金力だけでは根本的に不可能であることが背景にあると指摘している。サハリンであれ、東シベリアであれ、コビクチンガス田であれ、追加投資を要しないところは1つもない。対中天然ガス輸出交渉はすでに5年以上も経過している。ガス価格問題が一貫して障害になっているのは事実ではあるが、実際には中国へのパイプラインがないことが問題の本質である。対中天然ガス供給を実現するには何もかもゼロから開始せざるを得ない。したがって、対中天然ガス問題については、単にガス輸出価格が高いか低いかを論じるだけでは的外れである。

 (第一財経日報 6月19日)