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【エネルギー全般・政治経済】

中国投資公司のカナダTCK買収 中国の新たな資源買収モデルか (09/07/06)
2009/7/7
中国【エネルギー全般・政治経済】

 中国政府系ファンドである中国投資公司(CIC)は3日、カナダのTeck Resources(TCK)の株式の17%を15億ドルで買収したと発表した。最近の中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国海洋石油(CNOOC)によるスペインRepsol YPF石油の在アルゼンチン資産買収計画、中国石油化工(Sinopec)によるスイスAddax社買収に続く中国の大型買収劇に海外メディアも注目している。中国企業による海外資源買収は再び大きなうねりとなっている。

 CICによるTCKへの資本参加の発表を受けて、TCK株はその日のうちに8%上昇した。TCKは銅鉱、鉄鉱、炭鉱、亜鉛鉱の採掘を本業としているが、近年財務状況が悪化しており、米国の各銀行に対する債務は98億ドル以上に上っている。株価も1年間で40.24カナダドルから18ドルに下落し、同社は債務問題解決に頭を悩ませていた。水力発電事業の譲渡やリストラ、炭鉱6ヶ所の閉鎖を進めていたのも深刻な財務状況を改善するためである。CICの資本参加によって、TCKは債務を縮小することができよう。

 カナダ紙「グローバルポスト」によると、TCKの社長自ら中国に赴いて資本参加を説いて回ったとのこと。CICを選んだのには、中国の鉱産需要の大きいことや、出資が確実であることに加え、CICがTCKの経営陣には参加しない意向であることが「TCKの利益に最も合致」していたからである。買収成立後、TCKは、中国の需要に対応するため、炭鉱閉鎖の決定を撤回し、逆に石炭の大幅増産を宣言した。

 カナダの法律では、海外企業による買収案件は、経営権を握らない限り、カナダ政府の承認を要しない。しかし、カナダのネチズンの反応は様々であり、今回の買収はカナダ人の雇用機会確保に有利とする見方もあれば、中国企業の資本参加には多くの中国人労働者の流入も伴い、カナダ人が飯の種を失うとする警戒感もある。

 4日付「グローバルポスト」は、中国アルミによるリオ・ティント買収失敗にも関わらず中国商務部は依然「走出去」戦略を堅持しているとし、この8ヶ月間で中国企業は海外資源買収に数十億ドル投じたと指摘、「米国債の最大の買主である中国は目下資源買収によって投資の多元化を進めている」とし、TCK買収もその一環であるとしている。また、米国のMarket Watchのウェブサイトによると、中国は資源企業の買収に大きな関心を抱いており、中国経済の急成長は大量の原材料によって支えることが必要であると指摘、TCK買収は中国企業の外国資源買収のモデルに沿ったものとしている。

 中国産業海外発展計画協会の和振偉副事務局長は次のように指摘する。中国は、外貨準備をどのように処理するかを検討すべき時機に来ている。米国債を徐々に減らして、石油、鉱物などハード資産に変えていくべきである。しかし、国有企業が前面に出て買収を進めれば、摩擦が大きくなる。民間投資も含むファンドを設け、このファンドが買収を行うことで、中国政府が直接介入しているとする海外からの非難をかわすことが出来る。

 (環球時報 7月6日)