中国第3の石油企業である中国海洋石油(CNOOC)が7月の石油製品卸売資格を取得して以降、石油製品末端小売市場への参入を加速させている。 CNOOCは最近、山東省淄博において2軒のサービスステーションを買収し、山東省石油製品小売市場への参入を果たした。また、●坊、浜州でもサービスステーションの建設準備を密かに進めているとのこと。 山東省はCNOOCのメインターゲットの1つである。これより先、CNOOCは山東省の地方製油企業の統合を進め、浜州の中海瀝青公司、中海東営石化公司及び●坊の山東海化集団を傘下に収めた。特に山東海化集団の買収により、CNOOCは500万トンの製油能力と石油製品卸売資格を獲得したのである。 収益の大きい石油製品小売分野への進出はCNOOCのかねてからの悲願である。CNOOCは中化物産(CNOOCの全額出資子会社)に卸売業務を委託し、山東大唐油気有限公司(CNOOCが株式の70%保有)に小売業務を委託し、今年末には山東の石油製品卸売・小売市場へ一気呵成に攻勢をかけることになる。 中国の石油製品小売市場は長らくSinopecとCNPCの独壇場であるが、これは両社が「油源」を掌握していることが重要な原因である。SinopecとCNPCの小売業務のうちサービスステーションの石油製品販売量は総販売量の6割以上を占め、石油製品の収益は原油の収益をはるかに上回る。 原油から製油、さらに末端の小売への流れの中で、サービスステーションに手をつけず、卸売業務に甘んじるならば、大きな収益を失うことになる。多数の製油所を買収したCNOOCにとって石油製品小売業務への進出は必然の成り行きになる。CNOOCは山東海化集団を傘下に収めたことによって「石油化学一体化」の戦略構想を進めるとともに、買収方式によって手っ取り早くサービスステーションの囲い込みを進めている。CNOOCは山東省の地方製油企業と資本提携や原油供給について交渉を進めるとともに、民営サービスステーションの業界団体とも提携を進めているところである。これは、「資本と油源の交換」と言える。 しかしながら、CNOOCがSinopecとCNPCの牙城に挑戦することは難しい。現在、中国国内においてSinopecは2.8万軒、CNPCは1.9万軒のサービスステーションを有しているが、CNOOCのサービスステーションはわずか200軒程度に過ぎず、2大石油巨頭との差は極めて大きい。 結局、CNOOCは一部のエリアにおいて2大巨頭の独占体制に風穴を開けるだろうが、全国に販売ネットワークを形成するのは困難である。CNOOCは長江デルタや珠江デルタなど東部沿海地区において、CNOOCの海運面での優位、原油資源や急速に台頭する製油拠点に依拠して、地盤の開拓を進めているところであり、今後もそうした動きを強めるだろう。 CNOOCは、2010年にはサービスステーションを1,000軒に拡大すると呼号している。CNOOCが末端消費市場への浸透を強めることによって、CNPCとSinopecの2大巨頭による価格独占構造打破の希望が生まれる。三社鼎立構造が形成されることは、消費者にとっても望ましいことである。 (経済導報 9月16日) ●…サンズイに「維」
中国第3の石油企業である中国海洋石油(CNOOC)が7月の石油製品卸売資格を取得して以降、石油製品末端小売市場への参入を加速させている。
CNOOCは最近、山東省淄博において2軒のサービスステーションを買収し、山東省石油製品小売市場への参入を果たした。また、●坊、浜州でもサービスステーションの建設準備を密かに進めているとのこと。
山東省はCNOOCのメインターゲットの1つである。これより先、CNOOCは山東省の地方製油企業の統合を進め、浜州の中海瀝青公司、中海東営石化公司及び●坊の山東海化集団を傘下に収めた。特に山東海化集団の買収により、CNOOCは500万トンの製油能力と石油製品卸売資格を獲得したのである。
収益の大きい石油製品小売分野への進出はCNOOCのかねてからの悲願である。CNOOCは中化物産(CNOOCの全額出資子会社)に卸売業務を委託し、山東大唐油気有限公司(CNOOCが株式の70%保有)に小売業務を委託し、今年末には山東の石油製品卸売・小売市場へ一気呵成に攻勢をかけることになる。
中国の石油製品小売市場は長らくSinopecとCNPCの独壇場であるが、これは両社が「油源」を掌握していることが重要な原因である。SinopecとCNPCの小売業務のうちサービスステーションの石油製品販売量は総販売量の6割以上を占め、石油製品の収益は原油の収益をはるかに上回る。
原油から製油、さらに末端の小売への流れの中で、サービスステーションに手をつけず、卸売業務に甘んじるならば、大きな収益を失うことになる。多数の製油所を買収したCNOOCにとって石油製品小売業務への進出は必然の成り行きになる。CNOOCは山東海化集団を傘下に収めたことによって「石油化学一体化」の戦略構想を進めるとともに、買収方式によって手っ取り早くサービスステーションの囲い込みを進めている。CNOOCは山東省の地方製油企業と資本提携や原油供給について交渉を進めるとともに、民営サービスステーションの業界団体とも提携を進めているところである。これは、「資本と油源の交換」と言える。
しかしながら、CNOOCがSinopecとCNPCの牙城に挑戦することは難しい。現在、中国国内においてSinopecは2.8万軒、CNPCは1.9万軒のサービスステーションを有しているが、CNOOCのサービスステーションはわずか200軒程度に過ぎず、2大石油巨頭との差は極めて大きい。
結局、CNOOCは一部のエリアにおいて2大巨頭の独占体制に風穴を開けるだろうが、全国に販売ネットワークを形成するのは困難である。CNOOCは長江デルタや珠江デルタなど東部沿海地区において、CNOOCの海運面での優位、原油資源や急速に台頭する製油拠点に依拠して、地盤の開拓を進めているところであり、今後もそうした動きを強めるだろう。
CNOOCは、2010年にはサービスステーションを1,000軒に拡大すると呼号している。CNOOCが末端消費市場への浸透を強めることによって、CNPCとSinopecの2大巨頭による価格独占構造打破の希望が生まれる。三社鼎立構造が形成されることは、消費者にとっても望ましいことである。
(経済導報 9月16日)
●…サンズイに「維」