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【石炭】

中国 大雪が石炭供給に影響 価格の高騰の恐れ強まる (09/11/16)
2009/11/16
中国【石炭】

 中国北部の広い範囲にわたる大雪は山西省等からの石炭移出に影響を及ぼし、秦皇島への鉄道経由の石炭移入量は著しく減少している。一方、北部の暖房期が早まったため、石炭需要が増えているが、秦皇島の発送量の伸びには限りがあり、一部発電所の石炭在庫が急減している。短期的に石炭価格が高騰する可能性があるとアナリストは予測している。

 最近の中国北部の大雪のため、河北、山西等の石炭産地では交通が阻害され、石炭輸送に影響が及んでいる。秦皇島港の石炭在庫は11月11日の859.86万トンのピークから一転して13日には823.17万トンに急減した。

 今回の大雪が石炭市場にも一定の影響を及ぼすことは間違いない。特に短距離のトラック輸送への影響は顕著になる。山西省の対外石炭輸送のうち70%は鉄道、30%はトラックによる。昨年の大雪災害のケースから見ても、まずトラックによる石炭輸送が影響を受け、次いで鉄道で港に運ばれた石炭も悪天候のため順調に出港することが不可能になる。その結果、石炭在庫の小さいユーザーに影響が及び、市場はタイトになり、石炭市場価格が高騰する公算になる。実際、山西省の一般炭電子取引において「山煤0911」の契約価格は4日連続で上昇を示し、11月9日のトン450元から12日には489元に上昇している。

 石炭供給に影響が及ぶ一方で、急な寒冷化で暖房を要する時期が早まり、発電用石炭の需要が増え、一部発電所では石炭消費の増加、在庫の減少、供給の不足が生じている。また、中国南部の一部地区では干害のため、河川や湖の水位が過去最低を記録し、水力発電が制約され、その結果、火力発電の石炭消費が右肩上がりに上昇している。

 加えて、今年に入って以来中国の石炭輸入は大幅に増加し、年間輸入量は1億トンを突破する見通しであるが、秦皇島の石炭移出がスムーズに行かないため、輸入炭の需要がさらに上昇する公算である。しかし、世界経済の回復や北半球が冬季入りなどで、国際石炭市場の需要は徐々に増加し、一方、国際原油価格も強含みになる中で、国際石炭価格の上昇も続くだろう。その上、国際海運費の値上げも加わることになり、これまでの中国国内炭に対する輸入炭の価格面での優位は失われ、中国が引き続き輸入を拡大すれば、国際石炭価格も一層上昇し、延いては中国国内の石炭価格の上昇を招くだろう。

 (中国証券報 11月16日)