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【石油・天然ガス】

中国 天然ガスの国家備蓄を検討せよ (10/03/18)
2010/3/18
中国【石油・天然ガス】

 昨年末の天然ガス不足を背景に、天然ガスピーク調整施設の建設計画が進んでいる。関係企業や地方政府が次々と地下ガスタンクの計画を打ち出すとともに、専門家は、中国の天然ガスの輸入依存の高まりを踏まえて、原油と同様に天然ガス国家戦略備蓄の検討を前倒しで進めることを提言している。

 第5回中国天然ガス市場発展フォーラムにおいて、中国石油規画総院天然ガス市場室の李偉副主任は、今後中国の天然ガス対外依存度が石油と同様に50%を超える場合、天然ガス国家戦略備蓄を前倒しで検討する必要があると指摘した。

 中国の天然ガス対外依存度は現在8%に過ぎないが、輸入事業の実施に伴って、輸入ガスの比率が年を追うごとに大幅に上昇することになる。

 通関統計によると、2009年の中国のLNG輸入量は75億m3であったのに対し、年間の天然ガス消費量は900億m3。しかし、2010年初頭に第2西気東輸パイプライン西部ブロックが稼動し、2012年には全線開通する。また、中国海洋石油(CNOOC)、中国石油天然ガス(CNPC)、中国石油化工(Sinopec)はいずれも沿海地区に複数のLNGターミナルの建設、計画を進めており、稼働中のものは3件に上っている。中緬天然ガスパイプラインもすでに着工され、中露間の天然ガス価格決定原則も合意を見た。今後天然ガス輸入量が大幅に増加して、輸入依存度が上昇することは確実である。

 専門家によると、中国の天然ガスは全体的に需給がタイトであり、備蓄施設は深刻な不足を来たし、ピーク調整の需要さえ賄うことは難しい。現段階で戦略備蓄を論じるのは時期尚早であるが、天然ガスパイプライン、ガスタンクなどインフラ施設の設計において早めに戦略備蓄を考慮に入れた方が良い。

 CNOOCの天然ガス担当高級顧問の趙秀光氏は、現在世界のLNG資源がアジア市場に流動している状況を踏まえて、LNGを国家エネルギー戦略備蓄の一形式にすることが出来ると言う。沿海のLNG事業の検討と準備を進めることは時宜に適っている、輸入LNGによってパイプラインガスを補完することが必要になるだろう。

 また、アナリストによると、天然ガス輸入契約の多くは長期契約であり、買い手市場において価格交渉を有利に進めることが出来る。2008年に中国の石油企業が調印したLNG輸入契約価格は余りにも高すぎた。例えば、CNOOCとカタールの契約によるCIF価格は当時のスポット輸入価格を上回ることもあり、下流の販売に困難が生じた。

 (中国証券報 3月18日)