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【論説】本格化する中国の戦略石油備蓄 (10/04/01)
2010/4/2
中国【石油・天然ガス】

 最近、第2期戦略石油備蓄基地が次々と着工され、中国の戦略石油備蓄は本格化しつつある。

 中国の石油消費量と輸入量は世界第2位。2009年の石油対外依存度が52%に達し、さらに2020年には62%に上昇すると見込まれる中、戦略石油備蓄は中国のエネルギーセキュリティにとって不可欠なものになっている。

 戦略石油備蓄第2期プロジェクトが完成すると、100日分の原油需要量を賄うことが出来るとのことであり、第3期戦略石油備蓄基地の立地選定作業も目下進められている。

 中国は1993年に戦略石油備蓄を検討し始め、2004年には初の戦略石油備蓄基地である浙江省鎮海備蓄基地が着工された。2009年までには第1期戦略石油備蓄基地がすべて稼動し、1.02億バレルの原油を投入している。第2期戦略石油備蓄は1.69億バレルとする計画である。

 中国石油規画総院の張福琴副総工程師によると、中国は現在工業化、都市化が急速に進む重要な段階にあり、GDP成長率が7.5%前後を維持する場合、2010〜2015年における石油製品見掛け消費量(国内生産量+輸入量−輸出量)の年平均伸び率は4〜5%になる。中国の石油製品需要量は、2010年2.16億トン、2015年2.86億トン、2020年3.36億トンに達すると予想される。今後5年間で、中国の原油精製量は年平均6%以上のペースで拡大し、5億トンを超えるだろう。そして、原油精製量と石油製品需要量が拡大を続けることによって、石油対外依存度は2020年には62%に達する公算である。

 石油対外依存度の上昇は中国にとってエネルギーセキュリティ面の脅威になっている。国際原油価格の大幅な変動や石油輸出国の戦乱による供給停止が生じれば、中国のエネルギー供給は大きな試練にさらされる。アモイ大学中国エネルギー経済研究センターの林伯強主任によると、生産能力、消費量、消費の伸び率、輸入依存度の現状や見通しを見る限り、中国の石油セキュリティは日増しに脆弱化することになる。

 林伯強主任の見方では、戦略石油備蓄基地を建設するだけでは不十分であり、十分なエネルギーセキュリティを確保するためには、長期戦略と短期戦略を結びつける必要がある。

 長期戦略面では、中国は「義務備蓄」の規定や民間備蓄の増加など多様な備蓄モデルを採用する可能性が高い。石油備蓄の立法化を進め、石油備蓄モデル、備蓄規模や備蓄の種類などを法制化して、石油備蓄建設の全過程を法的に保障するとともに、備蓄の透明度を高める。そして、戦略石油備蓄施設の建設を前倒しで進め、石油価格の安い時機を利用して備蓄を進めることになる。

 (台湾経済日報 4月1日)