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【石油・天然ガス】

中国とベネズエラの「石油と融資の交換」200億ドルの融資のうち人民元が700億元 (10/04/20)
2010/4/22
中国【石油・天然ガス】

 中国とベネズエラは17日、Junin-4事業の協力や長期融資などで協定に調印した。新華社通信によると、中国はベネズエラに約200億ドルの融資を提供する。

 Junin-4事業については、中国とベネズエラは同事業を行う合弁会社を設ける。合意によると、この合弁会社の持ち株は、ベネズエラ国営石油公社PDVSAが60%、中国石油天然ガス集団(CNPC)が40%の比率になる。

 中国は10年期限の巨額の融資を行うが、その半分は人民元建てになる。

 合弁開発事業への資金提供については、中国は2006年にベネズエラと協議を開始し、2008年にベネズエラは中国から40億ドルの開発基金を獲得、その見返りに対中石油輸出量を倍増させることになった。さらに、昨年、ベネズエラは再び中国と合意に達し、基金には新たに40億ドルが追加された。

 一方、CNPCは2008年に、PDVSAと、Junin-4開発のため合弁会社を設けることで基本合意し、ベネズエラのチャベス大統領は昨年9月、中国の国有石油企業が向う3年間、オリノコ重質油の石油開発事業に160億ドル出資し、同事業の生産量を45万b/dに引き上げると表明していた。

 チャベスは昨年4月、中国を訪問し、中国国家開発銀行の陳元董事長(会長)や蒋超良頭取と金融協力の強化について意見交換した。

 注目すべきは、今回の中国からベネズエラへの融資は、米ドル100億ドル、人民元700億元からなるということである。中国社会科学院ラテンアメリカ研究所の王鵬博士によると、700億元の融資は人民元国際化の1つの試みになる。王鵬氏の見たところでは、ベネズエラの莫大な石油埋蔵量とポテンシャルを考慮すると、人民元を石油の決済通貨にすれば、石油交易における人民元の地位は上昇するだろう。

 王鵬氏によると、中国とベネズエラの合意は「石油と融資の交換」協定の典型であるとともに、「南南協力」が金融分野へと発展した象徴でもある。現在、ベネズエラは資金不足に陥っており、同国中央銀行の統計によると、2009年のGDP成長率はマイナス3.3%に落ち込み、特に石油産業は前年比7.2%のマイナスになった。また、2010年2月の失業率は8.6%に達している。

 加えて、ベネズエラが輸出する原油の半分以上は現在米国向けであり、ベネズエラは対米依存を引き下げるため、他の国への輸出を増やすことを試み始めている。

 4月12日、ベネズエラ石油相ラミレスは、ベネズエラは石油市場をすでに分散化しており、中国への輸出は46万b/dを超え、前年同期比21%増加したと表明した。

 資金不足のベネズエラに対し、中国は石油が不足している。中国社会科学院世界政治経済研究所の徐小杰研究員によると、当面に条件に基づけば、中国国内の石油資源の採掘が可能なのはあと十数年に過ぎない。一方、中国の今年3月の外貨準備は2兆4,470億ドルに達している。実際、中国もまた石油資源供給の多元化に努めているところである。

 (第一財経日報 4月20日)