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【エネルギー全般・政治経済】

大亜湾原子力発電所の事故で香港に不安広がる (10/06/18)
2010/6/18
中国【エネルギー全般・政治経済】

 香港政府は、中国と香港の境界からわずか50kmにある大亜湾原子力発電所の放射性物質漏れ事故が、原子力発電所の安全性と透明度に対する香港市民の不安を引き起こしていると述べた。

 香港政府は、5月23日の事故を知ったのは6月14日に報道されてからであり、その後ようやく香港中電集団(CLP Group)とともに対応に当ったとのこと。香港に上場している香港中電は大亜湾原子力発電所の建設を主導し、25%の株式を保有している。同社は、大亜湾原子力発電所2号機の放射性レベルの上昇は軽微であり、過去2週間、レベルは安定し、市民にはいかなる影響もないとしている。

 中国の国営放送も放射性物質漏れ事故が市民や原子力発電所の運転に影響することはないとし、中国核安全局の前副局長の談話を引用して、中国の11基の原子力発電所の安全には問題ないとしている。

 大亜湾原子力発電所は中国初の商業原子力発電所として、また当時最大の合弁事業として、1994年に商業運転を開始した。同原子力発電所は、香港中電集団が25%、中国広東核電投資有限公司が75%出資している。

 大亜湾原子力発電所の建設は香港市民の非難を呼んだが、当時香港は英国の統治下にあり、経済発展が緒に就いたばかりの途上国である中国の原子力発電所管理は極めて大きな不安の種になった。

 香港の前立法委員である陸恭恵氏は、市民には事故のあらゆる真相を知る権利があると指摘する。

 しかし、香港政府は、放射性物質漏れ事故の報告が遅れた香港中電を弁護し、今回の事故は原子力発電の安全にいかなる影響も及ぼさず、したがって現行の制度では即時通報する義務はなかったとしている。

 (ウォールストリートジャーナル 6月18日)