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【石油・天然ガス】

石油と天然ガスをめぐる中露の新たなゲーム (10/09/28)
2010/9/29
中国【石油・天然ガス】

 ロシア大統領メドベージェフの中国訪問に際して、中露両国は石油、天然ガス、原子力など様々分野に関する合意文書に調印し、胡錦濤国家主席が評価したように「中露エネルギー協力は新たな段階に入った」。

 今回の交渉の主な成果は、中国石油天然ガス集団(CNPC)とロシア国営石油会社Rosneftが「スコボロジノ−大慶」石油パイプラインを経由する対中石油供給契約に調印したことである。2011年1月1日より、ロシア原油が大慶林源製油所に送られる。このパイプラインは今後20年間、中国へ年間1,500万トンの原油を輸送する。

 これより先、中露両国が合意した「石油と融資の交換」協定に基づき、中国はロシアに合計250億ドルの長期融資を提供することになった。ロシアは石油を担保に、石油供給によって融資を償還する。2011〜2030年にかけ、パイプラインによって毎年1,500万トン、総計3億トンの石油を中国に供給するのである。

 駐中国ロシア大使ラゾフによると、中露間の石油協力協定は、3つの内容からなる包括協定である。すなわち、第1に石油パイプラインの敷設、第2に合意された量と価格に従ってロシアから中国へ原油を輸送すること、第3に両国が石油の上流・下流において広範な協力を展開することである。こうした協力には、両国国内における原油の探査と採掘、天津の合弁製油所建設、製油や石油化工の協力等が盛り込まれている。

 今回、中露石油パイプラインが竣工し、同パイプラインによる対中石油供給契約が調印されたことで、ロシアから中国への石油供給は実施段階に進んだ。

 関係筋によると、次の段階における中露石油協力交渉は、石油の上流・下流をめぐる協力が重点になる。中露東方石化天津製油所が次の段階の交渉において最も重要な課題になることは間違いない。

 今回のメドベージェフ大統領訪中の前哨戦として、王岐山副首相とロシアのセーチン副首相が天津で第6回中露エネルギー会談を行った。前出の関係筋によると、この会談では天津製油所の原油供給源が焦点になった。最初期の「石油と融資の交換」協定によると、中露石油パイプラインによって中国国内に輸送される年間1,500万トンの原油はすべて天津製油所に送られて精製することになっていた。しかし、契約によると、2011年に石油の対中輸送が開始されるが、天津製油所の完成は2015年になる。度重なる交渉を経て、中露双方は、パイプラインによって輸送する原油を大慶及び遼陽の製油所で精製することに合意したが、年産1,300万トンと確定した天津製油所の原油供給源は未解決のままになった。前出の関係筋によると、中露双方は9月20日に交渉を開始し、21日朝の天津製油所の定礎式まで徹夜で交渉を行ったが、最終的な確定を見なかった。「現在の交渉の進展具合では、天津製油所向けの1,300万トンの原油の大部分はロシアから鉄道により陸海連絡輸送方式で運ばれ、残りの原油はサウジアラビアから来ることになる」とこの関係筋は語る。9月21日、中露双方は協力紀要に調印し、新たな交渉は10月中旬に再開する。

 一方、天然ガス分野の中露協力も急進展した。60人からなるGazpromの交渉団は9月中旬より北京に滞在し、「ほとんど日夜分かたず交渉を行った」とのこと。セーチン副首相が明らかにしたところによると、GazpromとCNPCは合意文書に調印し、ロシア天然ガスの対中供給の主要条件で一致した。両者があらゆる問題で合意に達すれば、ロシアは2015年から中国への天然ガス輸出を開始する。

 基本合意によると、Gazpromは中国へ年間700億m3の天然ガスを供給する、うち西ルートのパイプライン経由が300億m3、東ルート経由が380億m3。技術や資金の都合上、西ルートが東ルートに先んじて、2015年までに完成する。

 Gazpromが21日の交渉後に発表した情報によると、両者はパイプラインの輸送能力、供給量、供給期限やテイク・オア・ペイの条件など、天然ガス対中供給の最も重要な指標とパラメータを確定した。

 しかし、未だ合意に達していない唯一の問題でありしかも最も核心的な問題が、ガス供給価格である。セーチン副首相は、GazpromとCNPCは2011年中頃までに契約に調印するとの楽観的な予想を示しているが、中露間に天然ガス価格をめぐって大きな隔たりがあるのは争えない事実である。

 交渉に参加したCNPCの関係者が明らかにしたところでは、価格問題は次の交渉の焦点になる。現在、中国側が天然ガスパイプライン建設に出資することを条件に受け入れることの出来る価格は1,000m3当たり150ドル。これは、中国とトルクメニスタンが合意した天然ガス価格を参考にしたものである。

 しかし、ロシア側は欧州向け天然ガス価格の仕組みを中国向けにも適用することを希望している。ロシアの欧州向け天然ガス輸出価格は石油価格に連動し、2008年末には1,000m3当たり500ドルに接近した。

 前出のCNPC関係者は、心理的な価格差が余りにも大きく、中露天然ガス価格交渉は困難なものになるに違いないと言う。昨年、中露石油協力協定が調印された時、ロシアは金融危機に直面して至急現金を要する状況であったが、今の状況は異なる。今のロシアには急いで解決を要する資金危機は決して存在していない。

 中国側は中央アジアにおいて天然ガス分野の協力を展開し、交渉のカードを増やしてきた。しかし、エネルギー分野の協力は、単純な商業上の協力ではなく、両国の戦略レベルに及ぶので、交渉の行方は予断を許さない。

 (中国石化新聞網 9月28日)