国家能源局が主導する石炭産業発展第12次5ヵ年規画の意見募集版が完成した。規画によると、第12次5ヵ年規画期の中国の炭鉱建設は、東部は抑制し、中部は安定させ、西部は大いに発展させるという方針であり、特に内蒙古の新規着工規模は全国の26%を占めることになる。また、同規画は、大型露天掘り炭鉱の建設優先を表明している。同時に高品質コークス用原料炭と無煙炭資源の保護的開発を実行するとしている。石炭輸送ルートについては、内蒙古の石炭を輸送するルートを拡充し、内蒙古−河北線を建設するとしている。こうして内蒙古の石炭生産能力を最大限に解き放つことになる。 アナリストの分析によると、新規生産能力の内蒙古に対する優先、露天掘り炭鉱の建設優先や内蒙古からの石炭輸送ルート拡充によって、露天煤業と平庄能源の上場企業2社が恩恵を受け、また、高品質コークス用原料炭と無煙炭資源の保護的開発や石炭輸送ルート拡充によって、●安環能が利益を得る。中国神華は陝西の石炭資源統合や石炭輸送ルート拡充計画から恩恵を受けるだろう。 内蒙古石炭発展への注力と大型露天掘り炭鉱の建設優先 規画によると、2015年の石炭生産量は2010年の32.4億トンより5.5億トン多い37.9億トンに達する。なお、第11次5ヵ年規画期に全国石炭生産量は8.9億トン増加したので、第12次5ヵ年規画期における石炭生産量の増加量は第11次5ヵ年規画期に比べ大幅に減ることになる。 生産量の増加が大幅に下がる中で、重点的に優先されるのは、西部地区、特に内蒙古の石炭生産である。一方、東部地区では深度1,000mより浅い新規坑井の建設は規制され、中部の重点鉱区でも深度1,000mより浅い坑井の建設が制限される。 西部地区については、神華、陝北、黄隴並びに寧東など大型石炭基地の資源統廃合や計画済み鉱区の探査を大いに推進する。なお、内蒙古東部の褐炭資源については、重点事業として探査を展開するとともに、内蒙古東部褐炭鉱区では石炭・発電を一体にした事業開発を重点的に実施し、大型露天掘り炭鉱を優先的に建設し、中国東北地区へ重点的に供給する。 同規画は特に、新規坑井の建設については大型現代化炭鉱を主とし、大型露天掘り炭鉱、超大型坑井並びに石炭・電力一体化事業の建設を優先すると強調している。 新規着工の生産能力指標を見ると、同規画は次のように確定している。第12次5ヵ年規画期の新規着工規模は5億トン/年、第11次5ヵ年規画の繰越建設規模も加え、最終的な建設規模を5.5億トン/年とする。一方、内蒙古の獲得する生産能力指標は1.3億トン/年に達し、全体の26%を占め、内蒙古は重点優待対象であると言うことが出来る。次が陝西と山西である。 内蒙古石炭対外輸送ルートの拡充 内蒙古能源局石炭処の責任者は、「2010年の内蒙古の石炭生産量は7.86億トンに達し、全国第一位になった。第12次5ヵ年規画期末には10億トンに達するのは問題ではない。しかし、問題の鍵は現地での転換と対外輸送だ」と記者に告げた。 そのため、石炭の対外輸送は石炭第12次5ヵ年規画の重点内容の一つになる。規画によると、内蒙古の石炭対外輸送ルートも大幅に拡充され、内蒙古の石炭の対外輸送能力が引き上げられ、現地の生産能力が解き放たれる。内蒙古の烏蘭察布から通遼までの集通線の輸送能力は、2010年の1,500万トンから2015年には3,500万トンに上昇する。また、第12次5ヵ年規画期には内蒙古−河北線が完成し、4,000万トンの輸送力に寄与する。 同時に神華の朔黄線も2010年の1.6億トンから、2.5億トンに高められる。山西省長治から河北省邯鄲に到る邯長線の輸送力も1,500万トンから6,200万トンに引き上げられる。なお、長治は、●安環能の所在地である。 一方、第12次5ヵ年総合交通体系発展規画においても、石炭運輸ルートの建設は重点の一つとして位置づけられている。同規画は、「内蒙古西部地区から曹妃甸港区、山西省中南地区から山東省沿海港湾に到る『西煤東運』ルートを建設する」と規定している。また、内蒙古西部等のエネルギー基地から湖北、湖南、江西など中部地区への「北煤南運」も建設する。石炭輸送システムの最適化と完備を進めて、石炭輸送ルートの能力を約30億トンにする。交通体系発展規画においても、やはり内蒙古と山西省からの石炭輸送が主な内容になっていることが分かる。 斉魯証券のアナリストである龔雲華氏の見方によると、今後の内蒙古地区の石炭企業の業績は、鉄道など交通施設の完備の程度と直接連動することになり、将来の鉄道輸送力の新規建設が上場石炭企業に与える影響について注意すべきである。 コークス用原料炭と無煙炭の保護的開発 石炭産業発展第12次5ヵ年規画意見募集版は、「三晋地区(晋南・晋中・晋北、すなわち山西省)」において、高品質コークス用原料炭と無煙炭資源に保護的開発を実施することも規定している。第12次5ヵ年規画期は主に発電用石炭と石炭化学工業用原料炭の生産を拡大するが、高品質コークス用原料炭の生産は適度に抑制することになる。 コークス用原料炭価格暴騰を背景に、品質が高く不足を来たしている炭種に保護的開発を行なう意味は明白である。保護的開発を行なう品種は主にコークス用の高品質原料炭と化学工業用の高品質無煙炭である。現在、オーストラリア、米国、カナダ等の諸国では、高品質コークス用原料炭は特殊・不足炭種として戦略的に保護されている。 コークス用原料炭は、今後世界中で奪い合う戦略資源になる。斉魯証券の見方では、今後中国とインドのコークス用原料炭の輸入量が急増し、日韓に取って代わる最大の輸入国になり、各国のコークス用原料炭資源の争奪も次第に激化することになる。そのことによって、コークス用原料炭価格が中長期的に上昇することは必然の傾向になる。国が不足資源に対する統制力を強化すると、大型コークス用原料炭グループと無煙炭グループが資源統廃合によって利益を得るだろう。 M&Aを奨励して産業の集中度を大幅に向上 企業発展の面では、大型石炭グループの育成を堅持し、M&Aを奨励することが石炭産業第12次5ヵ年規画の中核的な内容になる。規画は、1億トンクラスの超大型石炭企業を10社、5,000万トンクラスを10社形成して、全国の石炭生産量の60%を占めるようにすることが目標である。 規画は、山西、内蒙古、河南、陝西等の重点石炭生産省において、大型石炭企業を主体に、産業集中度を一層高め、まとまった形での石炭資源開発を促進すると確定している。鉱業権設定済みの鉱区については、優越企業が分散した鉱業権を統合するよう奨励し、探査開発の大規模化と集約化を打ち出している。 また、規画は、大型企業グループの発展支援、大型石炭企業グループの事業建設の優先配置、資金・技術・管理で優越している大型企業による鉱区、業種の境を越えたM&Aへの支援、大型企業による海外炭鉱投資経営への支援や、国際競争力を備える大型企業グループの育成を強調している。同時に、大型石炭企業グループを開発主体として、神東、陝北、黄隴など14の大型石炭基地の建設を着実に推進するとしている。 (上海証券報 5月27日) ●…サンズイに「路」
国家能源局が主導する石炭産業発展第12次5ヵ年規画の意見募集版が完成した。規画によると、第12次5ヵ年規画期の中国の炭鉱建設は、東部は抑制し、中部は安定させ、西部は大いに発展させるという方針であり、特に内蒙古の新規着工規模は全国の26%を占めることになる。また、同規画は、大型露天掘り炭鉱の建設優先を表明している。同時に高品質コークス用原料炭と無煙炭資源の保護的開発を実行するとしている。石炭輸送ルートについては、内蒙古の石炭を輸送するルートを拡充し、内蒙古−河北線を建設するとしている。こうして内蒙古の石炭生産能力を最大限に解き放つことになる。
アナリストの分析によると、新規生産能力の内蒙古に対する優先、露天掘り炭鉱の建設優先や内蒙古からの石炭輸送ルート拡充によって、露天煤業と平庄能源の上場企業2社が恩恵を受け、また、高品質コークス用原料炭と無煙炭資源の保護的開発や石炭輸送ルート拡充によって、●安環能が利益を得る。中国神華は陝西の石炭資源統合や石炭輸送ルート拡充計画から恩恵を受けるだろう。
内蒙古石炭発展への注力と大型露天掘り炭鉱の建設優先
規画によると、2015年の石炭生産量は2010年の32.4億トンより5.5億トン多い37.9億トンに達する。なお、第11次5ヵ年規画期に全国石炭生産量は8.9億トン増加したので、第12次5ヵ年規画期における石炭生産量の増加量は第11次5ヵ年規画期に比べ大幅に減ることになる。
生産量の増加が大幅に下がる中で、重点的に優先されるのは、西部地区、特に内蒙古の石炭生産である。一方、東部地区では深度1,000mより浅い新規坑井の建設は規制され、中部の重点鉱区でも深度1,000mより浅い坑井の建設が制限される。
西部地区については、神華、陝北、黄隴並びに寧東など大型石炭基地の資源統廃合や計画済み鉱区の探査を大いに推進する。なお、内蒙古東部の褐炭資源については、重点事業として探査を展開するとともに、内蒙古東部褐炭鉱区では石炭・発電を一体にした事業開発を重点的に実施し、大型露天掘り炭鉱を優先的に建設し、中国東北地区へ重点的に供給する。
同規画は特に、新規坑井の建設については大型現代化炭鉱を主とし、大型露天掘り炭鉱、超大型坑井並びに石炭・電力一体化事業の建設を優先すると強調している。
新規着工の生産能力指標を見ると、同規画は次のように確定している。第12次5ヵ年規画期の新規着工規模は5億トン/年、第11次5ヵ年規画の繰越建設規模も加え、最終的な建設規模を5.5億トン/年とする。一方、内蒙古の獲得する生産能力指標は1.3億トン/年に達し、全体の26%を占め、内蒙古は重点優待対象であると言うことが出来る。次が陝西と山西である。
内蒙古石炭対外輸送ルートの拡充
内蒙古能源局石炭処の責任者は、「2010年の内蒙古の石炭生産量は7.86億トンに達し、全国第一位になった。第12次5ヵ年規画期末には10億トンに達するのは問題ではない。しかし、問題の鍵は現地での転換と対外輸送だ」と記者に告げた。
そのため、石炭の対外輸送は石炭第12次5ヵ年規画の重点内容の一つになる。規画によると、内蒙古の石炭対外輸送ルートも大幅に拡充され、内蒙古の石炭の対外輸送能力が引き上げられ、現地の生産能力が解き放たれる。内蒙古の烏蘭察布から通遼までの集通線の輸送能力は、2010年の1,500万トンから2015年には3,500万トンに上昇する。また、第12次5ヵ年規画期には内蒙古−河北線が完成し、4,000万トンの輸送力に寄与する。
同時に神華の朔黄線も2010年の1.6億トンから、2.5億トンに高められる。山西省長治から河北省邯鄲に到る邯長線の輸送力も1,500万トンから6,200万トンに引き上げられる。なお、長治は、●安環能の所在地である。
一方、第12次5ヵ年総合交通体系発展規画においても、石炭運輸ルートの建設は重点の一つとして位置づけられている。同規画は、「内蒙古西部地区から曹妃甸港区、山西省中南地区から山東省沿海港湾に到る『西煤東運』ルートを建設する」と規定している。また、内蒙古西部等のエネルギー基地から湖北、湖南、江西など中部地区への「北煤南運」も建設する。石炭輸送システムの最適化と完備を進めて、石炭輸送ルートの能力を約30億トンにする。交通体系発展規画においても、やはり内蒙古と山西省からの石炭輸送が主な内容になっていることが分かる。
斉魯証券のアナリストである龔雲華氏の見方によると、今後の内蒙古地区の石炭企業の業績は、鉄道など交通施設の完備の程度と直接連動することになり、将来の鉄道輸送力の新規建設が上場石炭企業に与える影響について注意すべきである。
コークス用原料炭と無煙炭の保護的開発
石炭産業発展第12次5ヵ年規画意見募集版は、「三晋地区(晋南・晋中・晋北、すなわち山西省)」において、高品質コークス用原料炭と無煙炭資源に保護的開発を実施することも規定している。第12次5ヵ年規画期は主に発電用石炭と石炭化学工業用原料炭の生産を拡大するが、高品質コークス用原料炭の生産は適度に抑制することになる。
コークス用原料炭価格暴騰を背景に、品質が高く不足を来たしている炭種に保護的開発を行なう意味は明白である。保護的開発を行なう品種は主にコークス用の高品質原料炭と化学工業用の高品質無煙炭である。現在、オーストラリア、米国、カナダ等の諸国では、高品質コークス用原料炭は特殊・不足炭種として戦略的に保護されている。
コークス用原料炭は、今後世界中で奪い合う戦略資源になる。斉魯証券の見方では、今後中国とインドのコークス用原料炭の輸入量が急増し、日韓に取って代わる最大の輸入国になり、各国のコークス用原料炭資源の争奪も次第に激化することになる。そのことによって、コークス用原料炭価格が中長期的に上昇することは必然の傾向になる。国が不足資源に対する統制力を強化すると、大型コークス用原料炭グループと無煙炭グループが資源統廃合によって利益を得るだろう。
M&Aを奨励して産業の集中度を大幅に向上
企業発展の面では、大型石炭グループの育成を堅持し、M&Aを奨励することが石炭産業第12次5ヵ年規画の中核的な内容になる。規画は、1億トンクラスの超大型石炭企業を10社、5,000万トンクラスを10社形成して、全国の石炭生産量の60%を占めるようにすることが目標である。
規画は、山西、内蒙古、河南、陝西等の重点石炭生産省において、大型石炭企業を主体に、産業集中度を一層高め、まとまった形での石炭資源開発を促進すると確定している。鉱業権設定済みの鉱区については、優越企業が分散した鉱業権を統合するよう奨励し、探査開発の大規模化と集約化を打ち出している。
また、規画は、大型企業グループの発展支援、大型石炭企業グループの事業建設の優先配置、資金・技術・管理で優越している大型企業による鉱区、業種の境を越えたM&Aへの支援、大型企業による海外炭鉱投資経営への支援や、国際競争力を備える大型企業グループの育成を強調している。同時に、大型石炭企業グループを開発主体として、神東、陝北、黄隴など14の大型石炭基地の建設を着実に推進するとしている。
(上海証券報 5月27日)
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