6月17日の「コメルサント」紙は、ロシアのメドベージェフ大統領と中国の胡錦濤主席が天然ガス問題で合意に到らず、天然ガス契約調印の遅延によって、欧州は天然ガス交渉においてロシアにより大きな圧力をかけることになるとの見方を示した。以下、「コメルサント」の報道内容。 中露両国元首は今回の胡錦濤主席の訪露中に天然ガス契約に調印することを希望していたが、価格問題のためにその希望はかなわなかった。メドベージェフ大統領は、会談後の記者発表において、天然ガス契約交渉をさらに進めると述べた。 Gazpromのミレル社長と中国石油天然ガス集団(CNPC)の蒋潔敏会長は4昼夜にわたって交渉したが、新たな合意には何ら到らなかった。 両者の間には少なからぬ矛盾が存在しているが、その最も主要なものが価格問題である。エネルギー担当副首相セーチンは、ロシア側は対中天然ガス輸出においても対欧州輸出と同様の利益を得ることを希望すると表明した。Gazpromの予測によると、今年の平均価格は1000m3当たり352ドルである。 中国の消息筋によると、中国側は中央アジア天然ガス価格に準じてロシア天然ガスを購入することを提案した。約250ドルであり、双方の差は100ドルに上る。 ロシア側代表団の消息筋によると、中露双方は価格フォーミュラでも意見の一致を見ることが出来なかった。同筋は、「主な問題の一つに、ロシアが石油パイプラインと同様に中国からの融資で天然ガスパイプラインを建設するのか、それとも自己資金で建設するのかという問題がある。融資を利用する場合と、自己資金でやるのとでは、価格は全く異なる」と述べた。 ロシア政府の消息筋は、「現在条件について交渉しているのは西ルートのアルタイパイプラインであり、東ルートのパイプラインはその後の話だ」と述べた。それ以外にも、双方には東ルートのガス源をめぐっても溝がある。中国はGazpromが先般買収したコビクタガス田からの供給を希望している。同地の天然ガスは開発コストが低い。一方、ロシア側はサハリン−ウラジオストック天然ガスパイプラインによってサハリンの天然ガスを中国へ輸出するよう希望している。 ロシアの消息筋は、プーチン首相の今秋の訪中前に天然ガス契約に調印することはあり得ないと予想している。現在、ロシアにとって唯一のリスクは、中国が天然ガス供給源の多元化を積極的に進めていることである。Gazpromと交渉を進める一方で、CNPCはこの10年、中国−トルクメニスタン天然ガスパイプラインと中緬天然ガスパイプラインの建設を進めるとともに、オーストラリアや中東からのLNGを受け入れるターミナルを建設した。また、中国はカザフスタンと中国−トルクメニスタン天然ガスパイプラインの輸送能力引き上げで合意したばかりである。 一方、中露天然ガス契約の遅延によって、欧州市場におけるGazpromの地位に大きな影響が及ぶ可能性がある。Gazpromはこの2年、欧州の複数の大口顧客から天然ガス契約の改訂を求められている。長期契約価格とスポット価格を連動させよという要求である。ロシア政府は、天然ガス輸出先を中国に転換すると脅している。セーチンは先週、「EU委員会は、アジア市場への転換も含むGazpromの供給先の多元化に注目している」と表明した。 RusEnergyの専門家は、「この種の脅しを真に受ける人は最早欧州にはいない。中国との交渉の失敗が証明しているように、こんな言い方は拙劣な虚勢だ。最終的にGazpromは欧州と契約改訂で合意するだろう」と指摘する。 (俄新網 RUSNEWS.China 6月17日)
6月17日の「コメルサント」紙は、ロシアのメドベージェフ大統領と中国の胡錦濤主席が天然ガス問題で合意に到らず、天然ガス契約調印の遅延によって、欧州は天然ガス交渉においてロシアにより大きな圧力をかけることになるとの見方を示した。以下、「コメルサント」の報道内容。
中露両国元首は今回の胡錦濤主席の訪露中に天然ガス契約に調印することを希望していたが、価格問題のためにその希望はかなわなかった。メドベージェフ大統領は、会談後の記者発表において、天然ガス契約交渉をさらに進めると述べた。
Gazpromのミレル社長と中国石油天然ガス集団(CNPC)の蒋潔敏会長は4昼夜にわたって交渉したが、新たな合意には何ら到らなかった。
両者の間には少なからぬ矛盾が存在しているが、その最も主要なものが価格問題である。エネルギー担当副首相セーチンは、ロシア側は対中天然ガス輸出においても対欧州輸出と同様の利益を得ることを希望すると表明した。Gazpromの予測によると、今年の平均価格は1000m3当たり352ドルである。
中国の消息筋によると、中国側は中央アジア天然ガス価格に準じてロシア天然ガスを購入することを提案した。約250ドルであり、双方の差は100ドルに上る。
ロシア側代表団の消息筋によると、中露双方は価格フォーミュラでも意見の一致を見ることが出来なかった。同筋は、「主な問題の一つに、ロシアが石油パイプラインと同様に中国からの融資で天然ガスパイプラインを建設するのか、それとも自己資金で建設するのかという問題がある。融資を利用する場合と、自己資金でやるのとでは、価格は全く異なる」と述べた。
ロシア政府の消息筋は、「現在条件について交渉しているのは西ルートのアルタイパイプラインであり、東ルートのパイプラインはその後の話だ」と述べた。それ以外にも、双方には東ルートのガス源をめぐっても溝がある。中国はGazpromが先般買収したコビクタガス田からの供給を希望している。同地の天然ガスは開発コストが低い。一方、ロシア側はサハリン−ウラジオストック天然ガスパイプラインによってサハリンの天然ガスを中国へ輸出するよう希望している。
ロシアの消息筋は、プーチン首相の今秋の訪中前に天然ガス契約に調印することはあり得ないと予想している。現在、ロシアにとって唯一のリスクは、中国が天然ガス供給源の多元化を積極的に進めていることである。Gazpromと交渉を進める一方で、CNPCはこの10年、中国−トルクメニスタン天然ガスパイプラインと中緬天然ガスパイプラインの建設を進めるとともに、オーストラリアや中東からのLNGを受け入れるターミナルを建設した。また、中国はカザフスタンと中国−トルクメニスタン天然ガスパイプラインの輸送能力引き上げで合意したばかりである。
一方、中露天然ガス契約の遅延によって、欧州市場におけるGazpromの地位に大きな影響が及ぶ可能性がある。Gazpromはこの2年、欧州の複数の大口顧客から天然ガス契約の改訂を求められている。長期契約価格とスポット価格を連動させよという要求である。ロシア政府は、天然ガス輸出先を中国に転換すると脅している。セーチンは先週、「EU委員会は、アジア市場への転換も含むGazpromの供給先の多元化に注目している」と表明した。
RusEnergyの専門家は、「この種の脅しを真に受ける人は最早欧州にはいない。中国との交渉の失敗が証明しているように、こんな言い方は拙劣な虚勢だ。最終的にGazpromは欧州と契約改訂で合意するだろう」と指摘する。
(俄新網 RUSNEWS.China 6月17日)