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【新エネルギー】

風力発電の制約問題で蓄エネルギー技術開発の要望高まる (12/07/02)
2012/7/12
中国【新エネルギー】

 国家能源局は最近、風力発電開発の規模と事業を配置する上で系統連系を重要な参考指標として、風力発電利用時間が余りにも少ない地区では建設規模の拡大を禁じるよう求めている。矛先は、ますます深刻になる「棄風限電(電力網の受入能力不足等により風力発電の系統連系が制約されること)」問題に向けられている。

 昨年以来、中国の「棄風限電」は深刻化し、2011年の「棄風限電」は100億kWhを超え、平均利用時間数は大幅に減少した。一部の省・自治区では利用時間数が1,600時間に下がっているところもある。今年2月、国家発展改革委員会は風力発電ベンチマーキング系統連系価格を制定し、1kWhの価格水準を0.51〜0.61元とした。それをもとに試算すると、「棄風限電」による風力発電企業の損失は50億元を超えていることになる。

 風力発電の系統連系と電力消化は中国の風力発電の持続可能な発展を制約する最も主要なボトルネックになっている。問題は主に次のいくつかの点に集約される。第1に、風力発電の予測不可能性、断続性、変動性という特徴である。また、風力発電には反ピーク調整の特性もあり、電力負荷の小さい夜間には風力発電の出力が大きくなり、大規模な系統連系は電力の品質と電力網の安全性に一定の脅威をもたらす。第2に、この数年、中国の風力発電が尋常でない飛躍的なスピードで発展していることである。多くの地区では電力網の建設が風力発電の発展ペースに追いついていない。第3に、風力発電は工期が短く、完成までわずか1年程度しか要しないのに対して、電力網の工期が相対的に長いことである。そのため、電網企業は風力発電業界から積極的でないと常々批判されているが、客観的に言えば、多くの事業が国の承認を得ないまま風力発電が急速に発展する状況では、電力網に風力発電の全量買取を求めても、短期的には実現は極めて難しい。

 このような状況の下では、蓄エネルギー技術の開発に力を入れることには、多くのメリットがある。まず、中国の風力発電は遠距離・高圧送電が不可欠になるが、蓄エネルギーシステムに風力発電や太陽光発電等の断続的な再生可能エネルギーを重ね合わせることで電力系統の安定性を高めることが可能になる。ある研究によると、風力発電と太陽光発電のハイブリッドによって、出力の変動を12〜13%に抑え、それに蓄電池を加えると、変動率を3%まで下げることが出来る。これは在来型火力発電のレベルである。もう一つは、蓄エネルギー技術を発展させることは、風力発電電力の現地消化を推進する上でも有効である。当面の産業勾配移転という背景の下で、大型風力発電基地の近くに熱供給やエネルギー多消費産業を配置するとともに、風力発電所の建設とこれら電力大口需要家並びに電力系統との協調的な運営の仕組みを検討することも出来る。

 中国の蓄エネルギー産業は未だ本格始動しておらず、政策もほとんどない。この分野への政策支援を強化して、風力発電など再生可能エネルギーの持続的で健全な発展を推進すべきである。

 (新華網 7月2日)