9月21日、国家能源局は《ソーラー発電発展第12次5ヵ年規画》を公布し、2015年末には中国のソーラー発電設備容量を2,100万kW(21GW)以上にすることを打ち出した。これは、向こう3年間で中国の太陽光発電設備容量が6倍以上に拡大することが期待されるということである。 最近の動向からも、関係政府部門が国内太陽光発電市場の急速な発展を奨励して、欧米の「反ダンピング・反補助金」に対するリスクヘッジにしようとしていることが見て取れる。 「2011年末の中国の太陽光発電設備はわずか3.6GWであったが、今年末には7 GWに達すると見込まれる。つまり、向こう3年間、毎年の新規太陽光発電設備容量は4〜5GWになる。これは従来と比べて極めて大きく、国際的に見ても小さからぬ量だ。太陽光発電の生産能力を考えると、実際の設備容量はもっと大きくなるに違いない」と、中国再生可能エネルギー学会・太陽光発電専門委員会の趙玉文副主任は述べた。 中国国内の太陽光発電市場の急速な発展を奨励するため、中国は第12次5ヵ年規画期における設備容量の目標をこれまで4回にわたって修正した。最も早い時期に政策決定層は目標値を5GWとするよう考慮していた。その後、10GWに引き上げた。そして、今年5月8日の討議において、15GWに再度引き上げられた。しかし、最終的に公布された規画では、太陽光発電設備目標は改めて修正されたのである。 設備容量の増加に伴い、系統連系や系統連系電力価格など様々な問題が表面化してきた。 「太陽光発電所を完成しても系統連系が出来ないという現象がすでに発生している。今後新規設置される設備容量の系統連系をいかにして保証するかが難題だ。また、現在系統連系電力価格は全国的に十把一絡げだ。西部の太陽エネルギー資源の豊かな地区の大型発電所にしか適さない。もっと全国市場を本格化するには、資源状況の差異に応じて区分しなければならない」と趙文玉氏は見ている。ソーラーの大規模な開発と利用を進めたいのなら、関係するシステムをさらに改善することも必要なのである。 「目下様々な措置が準備されている。例えば、1kWhにつき1元の系統連系電力価格を2014年まで延長する案もある。これは、今後のコストの低下に伴って太陽光発電の粗利が年々増加することを意味する。また、砂漠や荒れ山のソーラー発電所事業に優遇措置を適用する案や、地方政府に対して毎年一定量の再生可能エネルギー発電指標の達成を義務付けるとともに人事評価に盛り込むなどの案もある」と、某太陽光発電業界団体の関係者が明かした。 先日、財政部と住宅都市農村建設部は連名で通達を出し、再生可能エネルギーの建築への応用について政策をさらに完備し、資金の分配管理方式を調整することによって、ソーラー等の新エネルギー製品が公共施設及び家庭へと広がるよう推進し、再生可能エネルギー建築応用政策の効果をさらに広げると表明した。 一方、各地方政府も内需市場への誘導を試みている。例えば浙江省では、省政府、地方政府、コミュニティの住民の共同出資により、嘉興を選定して家庭用太陽光発電システムを実験的に展開している。この実験的運営が成功すると、浙江省は、例えば大型市場を推進するなどの形で、家庭用(商用)ソーラーを成熟した商用化モデルとして広げることが期待される。 「米国やEUの対中反ダンピングなど不利な環境の中、こうした政策によって企業が速やかに国内市場へと転向するよう誘導し、延いては海外リスクを一定程度ヘッジすることが出来る」と、趙玉文氏は言う。 今回の規画の通達の中で、国家能源局は、「規画実施過程において、ソーラー発電規画の評価を適時展開し、発展情勢に基づいて規画の進行に対して必要な改定と調整を施す」と表明した。これは、今後の目標に上方修正の余地を残したものかも知れない。 具体的に見ると、太陽光発電の開発は、中・東部地区に建築と結び付けた分散型太陽光発電システムを建設することに重点を置くことになり、1,000万kWの分散型太陽光発電設備容量を建設する。また、青海、甘粛、新疆、内蒙古といった太陽エネルギー資源が豊かで未利用の土地が多い地区では、1,000万kWの系統連系型太陽光発電所を建設する。さらに、100万kWの太陽熱発電設備容量を建設する。太陽光発電所の投資を1kW当たり平均1万元、分散型太陽光発電システムを1.5万元として試算すると、総投資額は約2,500億元が必要になる。 同時に、チベットや青海等の僻遠地区に30件の新エネルギーマイクログリッドプロジェクトを建設して、新たな電力の供給・使用モデルを確立する。また、大中型都市において新エネルギーの応用を促進し、100ヵ所の新エネルギーモデル都市と1,000の新エネルギーモデル工業団地を建設する。 21GWの設備容量目標について、阿特斯の広報担当者である沈揚子氏は、比較的合理的であるとの見方を示し、転換期にある現在の太陽光発電産業にとっては飛躍式の成長目標は決して適さないとした。沈揚子氏の説明によると、阿特斯は地方政府と協力して公園等の公共施設に太陽光発電製品の応用を進めている他に、発電所開発事業も拡大しており、今年は発電所の収入が25%に達し、2013年には40%に達する見込みである。 一方、英利集団の広報担当者である王志新氏は「経済参考報」紙記者に対し、英利は今年に入ってから「3・3・4モデル」の生産量計画を進めていることを明らかにした。すなわち、30%の製品は地上の発電所建設、30%はルーフ発電、40%は独立システムということである。同社のマーケット全体に占める国内マーケットの比率は、第1四半期は5%であったのが、第2四半期は14%に上昇した。 (経済参考報 9月13日)
9月21日、国家能源局は《ソーラー発電発展第12次5ヵ年規画》を公布し、2015年末には中国のソーラー発電設備容量を2,100万kW(21GW)以上にすることを打ち出した。これは、向こう3年間で中国の太陽光発電設備容量が6倍以上に拡大することが期待されるということである。
最近の動向からも、関係政府部門が国内太陽光発電市場の急速な発展を奨励して、欧米の「反ダンピング・反補助金」に対するリスクヘッジにしようとしていることが見て取れる。
「2011年末の中国の太陽光発電設備はわずか3.6GWであったが、今年末には7 GWに達すると見込まれる。つまり、向こう3年間、毎年の新規太陽光発電設備容量は4〜5GWになる。これは従来と比べて極めて大きく、国際的に見ても小さからぬ量だ。太陽光発電の生産能力を考えると、実際の設備容量はもっと大きくなるに違いない」と、中国再生可能エネルギー学会・太陽光発電専門委員会の趙玉文副主任は述べた。
中国国内の太陽光発電市場の急速な発展を奨励するため、中国は第12次5ヵ年規画期における設備容量の目標をこれまで4回にわたって修正した。最も早い時期に政策決定層は目標値を5GWとするよう考慮していた。その後、10GWに引き上げた。そして、今年5月8日の討議において、15GWに再度引き上げられた。しかし、最終的に公布された規画では、太陽光発電設備目標は改めて修正されたのである。
設備容量の増加に伴い、系統連系や系統連系電力価格など様々な問題が表面化してきた。
「太陽光発電所を完成しても系統連系が出来ないという現象がすでに発生している。今後新規設置される設備容量の系統連系をいかにして保証するかが難題だ。また、現在系統連系電力価格は全国的に十把一絡げだ。西部の太陽エネルギー資源の豊かな地区の大型発電所にしか適さない。もっと全国市場を本格化するには、資源状況の差異に応じて区分しなければならない」と趙文玉氏は見ている。ソーラーの大規模な開発と利用を進めたいのなら、関係するシステムをさらに改善することも必要なのである。
「目下様々な措置が準備されている。例えば、1kWhにつき1元の系統連系電力価格を2014年まで延長する案もある。これは、今後のコストの低下に伴って太陽光発電の粗利が年々増加することを意味する。また、砂漠や荒れ山のソーラー発電所事業に優遇措置を適用する案や、地方政府に対して毎年一定量の再生可能エネルギー発電指標の達成を義務付けるとともに人事評価に盛り込むなどの案もある」と、某太陽光発電業界団体の関係者が明かした。
先日、財政部と住宅都市農村建設部は連名で通達を出し、再生可能エネルギーの建築への応用について政策をさらに完備し、資金の分配管理方式を調整することによって、ソーラー等の新エネルギー製品が公共施設及び家庭へと広がるよう推進し、再生可能エネルギー建築応用政策の効果をさらに広げると表明した。
一方、各地方政府も内需市場への誘導を試みている。例えば浙江省では、省政府、地方政府、コミュニティの住民の共同出資により、嘉興を選定して家庭用太陽光発電システムを実験的に展開している。この実験的運営が成功すると、浙江省は、例えば大型市場を推進するなどの形で、家庭用(商用)ソーラーを成熟した商用化モデルとして広げることが期待される。
「米国やEUの対中反ダンピングなど不利な環境の中、こうした政策によって企業が速やかに国内市場へと転向するよう誘導し、延いては海外リスクを一定程度ヘッジすることが出来る」と、趙玉文氏は言う。
今回の規画の通達の中で、国家能源局は、「規画実施過程において、ソーラー発電規画の評価を適時展開し、発展情勢に基づいて規画の進行に対して必要な改定と調整を施す」と表明した。これは、今後の目標に上方修正の余地を残したものかも知れない。
具体的に見ると、太陽光発電の開発は、中・東部地区に建築と結び付けた分散型太陽光発電システムを建設することに重点を置くことになり、1,000万kWの分散型太陽光発電設備容量を建設する。また、青海、甘粛、新疆、内蒙古といった太陽エネルギー資源が豊かで未利用の土地が多い地区では、1,000万kWの系統連系型太陽光発電所を建設する。さらに、100万kWの太陽熱発電設備容量を建設する。太陽光発電所の投資を1kW当たり平均1万元、分散型太陽光発電システムを1.5万元として試算すると、総投資額は約2,500億元が必要になる。
同時に、チベットや青海等の僻遠地区に30件の新エネルギーマイクログリッドプロジェクトを建設して、新たな電力の供給・使用モデルを確立する。また、大中型都市において新エネルギーの応用を促進し、100ヵ所の新エネルギーモデル都市と1,000の新エネルギーモデル工業団地を建設する。
21GWの設備容量目標について、阿特斯の広報担当者である沈揚子氏は、比較的合理的であるとの見方を示し、転換期にある現在の太陽光発電産業にとっては飛躍式の成長目標は決して適さないとした。沈揚子氏の説明によると、阿特斯は地方政府と協力して公園等の公共施設に太陽光発電製品の応用を進めている他に、発電所開発事業も拡大しており、今年は発電所の収入が25%に達し、2013年には40%に達する見込みである。
一方、英利集団の広報担当者である王志新氏は「経済参考報」紙記者に対し、英利は今年に入ってから「3・3・4モデル」の生産量計画を進めていることを明らかにした。すなわち、30%の製品は地上の発電所建設、30%はルーフ発電、40%は独立システムということである。同社のマーケット全体に占める国内マーケットの比率は、第1四半期は5%であったのが、第2四半期は14%に上昇した。
(経済参考報 9月13日)