国家能源局の呉吟副局長は10月11日、2012年中国国際石炭発展高層フォーラムにおいて、今年に入ってから中国の石炭生産は比較的急速な増加の勢いを維持しているが、石炭消費の伸びは鈍化し、在庫は高止まりし、供給が需要を上回る局面が形成されていると表明した。

　呉吟副局長は中国の今年の石炭産業には次の4つの主要な特徴があると指摘した。

　第1に、石炭供給が引き続き増加している。今年1〜8月の全国石炭生産量は25.7億トン、前年同期比1.08億トン、4.4％増加した。

　第2に、石炭消費の伸び率が鈍化している。1〜8月の全国石炭消費量は27.1億トン、前年同期比1.4％の増加に止まり、伸び率は前年同期を8.7ポイント下回った。

　第3に、石炭在庫の高止まりが続いている。9月末時点の重点発電企業の在庫は9,032万トン、使用量の29日分であり、前年同期より12日分増えた。北方7港湾の在庫は2,509万トン、前年同期比97.9％増加した。

　第4に、石炭市場価格は低水準にある。秦皇島港の5,500キロカロリー一般炭の市場価格は10月初頭には年初に比べトン当たり165元下がってトン635元になった。

　呉吟副局長によると、今年に入って石炭の供給過剰をもたらした原因には次のいくつかの側面が挙げられる。

　第1に、経済成長が減速し、特にエネルギー多消費産業の伸び率が下がり、石炭需要が軟調になった。今年上半期のGDP成長率は7.8％、前年同期に比べ1.8ポイント下がった。

　第2に、水力発電が増えて石炭火力発電に取って代わった。第2四半期の水力発電の発電量は1,800.2億kWhで、前年同期比275.8億kWh増えた。これは原炭消費量約1,274万トンの減少につながった。

　第3に、石炭輸入が大幅に増えた。1〜8月の石炭輸入は前年同期比5,840万トン増加した。

　第4に、石炭生産は比較的急速な増産傾向を維持している。1〜8月の石炭生産量は前年同期比1.1億トン増加した。

　呉吟副局長の見方では、石炭価格の適度の回帰は石炭と電力の矛盾緩和にとって有利に働くが、石炭価格が低すぎると、炭鉱の収益能力が不足して、安全投資、環境管理や民生改善にも影響する。石炭産業の健全で持続的な発展にとって不利であり、最終的には下流産業にも影響が及ぶ。呉吟副局長は、政府は各石炭生産地区と石炭企業が合理的に生産を計画するよう誘導し、2012年の全国石炭生産量36.5億トンという所期の目標に従って全国の石炭生産量の伸び率を4％以下に抑制するとともに、関連政策措置を整えて、石炭市場の大幅な変動を防止し、国民経済の平穏な運営を確保すると表明した。

　（中国能源網 10月15日）