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中国
【石油・天然ガス】

「ロシアの天然ガス価格を中国が決めることになるのか」と露紙報道 (13/05/02)
2013/5/7
中国【石油・天然ガス】

 ロシアのメディアは、国際エネルギー市場の変動はいずれもロシアにとって不利であり、シェールガス技術やLNG技術の飛躍的な進歩に伴い、ロシア天然ガス会社Gazpromの地位は以前のように大きいものではなくなったと指摘している。Gazpromは有利な価格を設定する機会を失うことになり、支払い方式においても主導権を失うだろう。

 中国国家主席習近平のロシア訪問において、Gazpromと中国石油天然ガス集団(CNPC)はようやく天然ガス協力で覚書に調印した。ロシアと中国は長年にわたり、天然ガス価格交渉で合意することが出来なかったが、2013年になって打開の希望が出てきた。中国は価格決定メカニズムやGazpromの対中天然ガス供給条件をめぐって一貫して強硬な立場を貫いてきた。国際天然ガス市場の大きな変動によって、両者が妥協する可能性は高くなったが、ロシアにとって必ずしも有利ではない。

 中国メディアによると、中国が今や天然ガス価格をめぐって完全に優位にある。覚書によると、中国は徐々にドイツを追い抜いてロシア天然ガスの最大の輸入国になるだろう。中国側の見方では、Gazpromはすでに独占的地位を失っており、独占価格を再び確立することは極めて難しい。ロシア側も妥協を模索する意向を示している。天然ガス価格に対する中露間の心理的な差はこれまでの100ドル/千m3から50ドル/千m3にまで縮まった。

 ロシアのメディアによると、中国の自信は、欧州天然ガス市場におけるGazpromの独占的地位が動揺していることに由来する。欧州市場では、Gazpromの価格決定メカニズムは原油価格に連動しつつも長期契約の調印が慣行になり、契約破棄の場合は違約金を支払う必要がある。一方、競争相手のノルウェー国営石油会社Statoilはもっと臨機応変な新しい価格決定メカニズムを提示して、Gazpromの旧来の顧客の多くを奪った。

 Gazpromにとってもう一つの脅威はシェールガス革命であり、これにより米国は天然ガスの自給を実現した。西ヨーロッパ諸国はシェールガス開発を停止しているが、ウクライナやポーランドなど東欧諸国では政府や企業がこの新しい技術に夢中になっており、ロシアの天然ガスに対する依存から脱却するよう図っている。こうした状況の下で、Gazpromには選択の余地はなく、生産能力の大部分を西方から東方への輸出に転換するしかない。

 一方、中国にとっては、ロシアの天然ガスは最早欠かすことの出来ないものではない。両国の長年の交渉が成功を見ないため、中国は中央アジア、北アフリカ、中東、オセアニア等からパイプラインガスやLNGを調達するルートを開いた。ロシアから天然ガスを輸入することは、中国にとって輸入源の多元化を実現する一歩に過ぎない。つまり、Gazpromにとって価格条件は相当厳しいものにならざるを得ない。

 (中国能源網 5月2日)