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中国
【新エネルギー】

中国独自開発のバイオジェット燃料が旅客機の商用フライト実現 (15/03/21)
2015/3/26
中国【新エネルギー】

 3月21日、中国石油化工(SINOPEC)のバイオジェット燃料第一号が海南航空HU7604便のボーイング737-800型旅客機に注油され、156名の乗客と8名の乗員を乗せて8時20分、上海虹橋空港を離陸、2時間半のフライトを終えて、10時50分、北京国際空港に無事着陸した。中国独自開発によるバイオジェット燃料第一号が乗客を乗せた商用旅客機でのフライトに初めて成功したことになる。SINOPECは中国で初めてバイオジェット燃料の生産技術を開発し商用化に成功した。バイオジェット燃料を独自に開発・生産して商業化に成功した国は世界でも少数に限られる。

 中国は年間消費量2,000万トン超のジェット燃料消費大国である。国際航空運送協会(IATA)の予測によると、2020年にはバイオジェット燃料がジェット燃料全体の30%を占めることになる。中国民航局は2011年、《省エネ・排出削減対策の加速推進に関する指導意見》を公布し、航空業界全体のエネルギー消費とCO2排出量の増加率を産業の発展速度を下回るようにするとともに、2020年の中国の民用航空企業の単位当たりエネルギー消費と排出(トン・km当たりのエネルギー消費と収入・トン・km当たりのCO2排出)を2005年比で22%引き下げるという目標を打ち出した。中国の現在のジェット燃料消費量は2,000万トン余りである。バイオジェット燃料がその30%、600万トンを占めるようになれば、バイオジェット燃料1トン当たりの排出削減を35%として試算すると、1年間で670万トンのCO2を削減することになる。これは6,100万株の植樹、450万台近くのエコノミーカーの運転停止に相当する。

 SINOPECは2009年にバイオジェット燃料の開発に着手し、独自知財権を備えるバイオジェット燃料生産技術を開発することに成功した。2011年9月には、SINOPEC所属の鎮海煉化杭州石油化学生産基地にアジア初になるバイオジェット燃料プラントが完成、12月には基準をクリアするバイオジェット燃料の生産にこぎつけた。2013年4月にはSINOPECのジェット燃料第一号の試験飛行が中国東方航空により完了し、2014年12月、中国民航局から中国初のバイオジェット燃料適航許可証を交付され、商業化が可能になった。

 SINOPECのバイオジェット燃料生産技術は対象にできる原料が幅広く、キャノーラ油、綿実油、パーム油、酸化大豆油に加え、飲食業の廃油も原料にすることが出来る。SINOPECは今後もさらにバイオジェット燃料の原料供給源を広げ、技術水準と製品の競争力を高め、航空業界の排出削減と効率向上のため信頼できる石油製品ソリューションを提供することになる。

 SINOPECはバイオマス燃料の研究開発においても常に中国国内をリードしている。今後は国内外のバイオマス資源と市場ネットワークを統一的に運用し、航空会社とも引き続き協力を深めてバイオジェット燃料の商用化を推進するとともに、国内外の優れた企業とも協力を強化して、非穀物系バイオ燃料の開発にも前向きに取り組み、先進的バイオ燃料の実証を推進する。2020年には中国の先進バイオ燃料業界のトップランナーになるだろう。

 (中国新聞網 3月21日)