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【石炭】

人民元下落が石炭市場に及ぼす影響 (15/08/17)
2015/8/20
中国【石炭】

 人民元為替レート下落の影響については、石炭輸入量の大幅な減少をもたらすとの見方がある一方で、石炭輸入量が上昇するとの見方もある。

石炭資源輸入の競争能力が増強:陳哲中国能源経済研究院研究員
 
 人民元の対米ドル為替レートの下落は全体として輸出に有利であり、輸入には不利だ。しかし、米ドル以外の通貨に対する為替レートは依然強含みであり、監督管理層は対米ドルレートが引き続き下落することは許容の範囲であると見ているようだ。近年の石炭市場構造を見る限り、石炭の輸出入は為替レートの変動に対して決して敏感ではなく、むしろ国内の政策や短期需要の影響の方が大きい。人民元為替レートの下落が続くと、石炭資源輸入の競争能力が大きくなる。競争能力が増強すると、石炭資源輸入量の回復が見込まれる。このことは安定化の兆しを示し始めた国内石炭市場にとって決して良いことではなく、石炭市況の底入れが再び始まる可能性が高い。

 下半期の石炭輸入量は大幅に減少:石炭市場アナリスト王旭峰

 輸入企業にとって人民元下落の影響は大きい。石炭のCIF価格が上昇する。国内外の価格差については、輸入炭の優位はすでに極めて小さくなっており、今回の為替レートの調整によって輸入企業は困難が増す。下半期の輸入量にも影響し、大幅な減少が生じる。国外の炭鉱の石炭価格や海運費が下落しない限り、輸入業務は大きな影響を受けることになろう。

 国際石炭価格のさらなる下落を呼ぶ:李廷叡能諮詢首席顧問

 短期的に輸入量は一定の影響を受けるが、需要が好転しなければ、国内炭価格の回復を支えることも出来ない。輸入炭が中国国内に入ろうとするなら、国際石炭価格がさらに下落するしかない。逆に国内需要が改善されると、人民元の下落は国内炭価格回復の支えになる。

 輸入炭市場に重大な衝撃:トウ舜ICIS石炭産業アナリスト

 石炭輸入にとって人民元の下落は、調達コストの上昇と輸入業者の調達リスク増大、さらには輸入業者の利益縮小をも意味する。もし人民元為替レートの下落が続けば、輸入炭市場は重大な打撃を受け、石炭輸入量は著しく減少することになる。

 市場関係者の観点

 石炭輸入業者:人民元の下落は石炭輸入業者に極めて大きな影響を及ぼす。多数の貿易業者は石炭を輸入しても基本的な操業コストしか賄えず、利益は殆ど出ない。人民元が今後さらに下がるかどうかは未知数だが、下落予想によって輸入業者の石炭調達コストが上がることになり、石炭輸入に重大な衝撃がもたらされる。

 石炭輸入業者:今回人民元為替レートが一気に2%下落したことで、石炭輸入業務の利益は1トンに付き概ね0.5〜1ドル下がる。また人民元の下落によって、国内の買主は輸入炭に対して以前より多くの人民元を支払うことが必要になり、そのため、国内の輸入炭需要が下がり、輸入炭価格の下落が促されることになる。

 石炭関係者:人民元為替レートの下落によって石炭の輸入調達コストが上がる。もともと利益が薄い輸入炭市場にとっては重大な衝撃になる。石炭輸入は減少するかもしれない。一方、中国炭の輸出は価格面で優越することになり、中国の石炭企業にとっては長期的に有利になる。

 業務関係者:周知のように通貨の切り下げは輸出を刺激する上で有効な政策になる。石炭輸出にとって人民元の下落は石炭価格面で優位に立つことにつながり、企業の競争力にとって一助になる。

 (煤炭市場網 8月17日)