近年、石炭資源地区が産業形態の転換を進める上で、石炭液化やSNG(石炭由来代替天然ガス)を主とする現代的石炭化学工業が主要な方向性になっている。しかしながら、現代的石炭化学工業にはエネルギーや水消費が大きいといった問題がり、そのため石炭化学工業をめぐる争論が絶えず、加えて油価の下落が石炭化学工業に衝撃を与えている。現代的石炭化学工業は岐路に立っており、今後どのように歩みを進めるべきかについては様々な意見がある。 企業界や学界には石炭液化やSNGについて様々な主張があり、政府の関連政策も動揺してなかなか定まらない。現代的石炭化学工業は国のエネルギーセキュリティの面で必要であるとする見方もあれば、投資と環境リスクが極めて高いとの見方もある。こうした問題について、中国工程院の金涌院士は、石炭液化やSNGも含め石炭系燃料路線を棚上げすべきとしている。 石炭液化の場合、産業チェーンがなく、産出した液化油は燃料として燃焼するしかない。エネルギーのロスは極めて大きく、エネルギー転換効率は低い。同時に汚染も深刻であり、決して低炭素の道筋にはならない。さらに投資も大きく、中国国内の石炭液化事業投資はすでに1,000億元以上に上っている。 金涌氏は次のように表明する。石炭液化について考え方を一変しなければならない。例えば、合成油、パラフィン、酸素含有添加剤、高セタン価潤滑油といった特殊石油製品にするのも一つのアイデアになる。石炭液化を特殊用途の石油製品に変えれば、付加価値が相対的に高まり、企業にとっては新たな可能性になる。 石炭化学工業を行おうとするなら、燃料ではなく付加価値の高い石炭化学工業製品を生産すべきである。当面の石炭化学工業はオレフィンや芳香族炭化水素など初級製品に止まっており、産業チェーンをゴム、化学繊維、ペイントなどへ延伸することが必要である。こうした分野は付加価値が高く、産業チェーンを伸ばすことが出来る。すなわち、石炭の高付加価値化を進めようとするなら、化学新材料を展開すべきである。石炭化学工業は将来、材料工業の主要な方向性になるだろう。産業チェーンを最大限に延伸すれば、石油に代替することも可能になる。 政府は石炭化学工業の現状について実地調査を進め、真摯に分析を加えて、石炭化学工業の発展の道筋を科学的に策定し、トップレベルデザインを適正に進めることが極めて重要である。第13次5ヵ年規画期に石炭化学工業を具体的にどのように発展させるかについて、金涌氏は次のように提言した。 第1に、石炭液化、SNGなど中国の石炭系燃料の技術は最も先進的であり、放棄するわけにはいかず、石炭系燃料を技術戦略備蓄事業として位置づけるべきである。大規模な投資は不良資産に変わる可能性が高い。 第2に、化学品及びハイテク材料としての石炭化学工業の道筋を重点的に奨励する。例えば、トルエン、キシレン、エチレン、プロピレン、芳香族炭化水素、オレフィン、エチレングリコールは極めて重要な化学原料であり、石油に代替することになれば、年間1,000万トンの石油輸入を減らすことが出来る。 第3に、石炭のクリーンで効率的な利用を進め、省エネと排出削減を実現する。例えば、石炭系化学肥料の合理的な利用によって化学肥料利用率を35%から55%に高めれば、毎年1,000億元の資金を節減し、省エネと汚染減少にもつながる。 第4に、褐炭のアップグレーディングと利用を適正に進める。中国の褐炭埋蔵量は大きいが、褐炭は灰分と水分が高く含有化学成分も複雑であり、直接使用しても効果と効能が低く、環境への影響も大きい。しかし、アップグレーディングによって先に有用な化学成分を抽出して化学原料とし、アップグレーディングを施した後の褐炭を発電等の燃料とする路線を支持すべきである。 第5に、特殊石油製品を生産する。例えば、酸素含有添加剤DMM3-5は燃料の品質を高め、大気汚染を減らす。 (和訊期貨 8月26日)
近年、石炭資源地区が産業形態の転換を進める上で、石炭液化やSNG(石炭由来代替天然ガス)を主とする現代的石炭化学工業が主要な方向性になっている。しかしながら、現代的石炭化学工業にはエネルギーや水消費が大きいといった問題がり、そのため石炭化学工業をめぐる争論が絶えず、加えて油価の下落が石炭化学工業に衝撃を与えている。現代的石炭化学工業は岐路に立っており、今後どのように歩みを進めるべきかについては様々な意見がある。
企業界や学界には石炭液化やSNGについて様々な主張があり、政府の関連政策も動揺してなかなか定まらない。現代的石炭化学工業は国のエネルギーセキュリティの面で必要であるとする見方もあれば、投資と環境リスクが極めて高いとの見方もある。こうした問題について、中国工程院の金涌院士は、石炭液化やSNGも含め石炭系燃料路線を棚上げすべきとしている。
石炭液化の場合、産業チェーンがなく、産出した液化油は燃料として燃焼するしかない。エネルギーのロスは極めて大きく、エネルギー転換効率は低い。同時に汚染も深刻であり、決して低炭素の道筋にはならない。さらに投資も大きく、中国国内の石炭液化事業投資はすでに1,000億元以上に上っている。
金涌氏は次のように表明する。石炭液化について考え方を一変しなければならない。例えば、合成油、パラフィン、酸素含有添加剤、高セタン価潤滑油といった特殊石油製品にするのも一つのアイデアになる。石炭液化を特殊用途の石油製品に変えれば、付加価値が相対的に高まり、企業にとっては新たな可能性になる。
石炭化学工業を行おうとするなら、燃料ではなく付加価値の高い石炭化学工業製品を生産すべきである。当面の石炭化学工業はオレフィンや芳香族炭化水素など初級製品に止まっており、産業チェーンをゴム、化学繊維、ペイントなどへ延伸することが必要である。こうした分野は付加価値が高く、産業チェーンを伸ばすことが出来る。すなわち、石炭の高付加価値化を進めようとするなら、化学新材料を展開すべきである。石炭化学工業は将来、材料工業の主要な方向性になるだろう。産業チェーンを最大限に延伸すれば、石油に代替することも可能になる。
政府は石炭化学工業の現状について実地調査を進め、真摯に分析を加えて、石炭化学工業の発展の道筋を科学的に策定し、トップレベルデザインを適正に進めることが極めて重要である。第13次5ヵ年規画期に石炭化学工業を具体的にどのように発展させるかについて、金涌氏は次のように提言した。
第1に、石炭液化、SNGなど中国の石炭系燃料の技術は最も先進的であり、放棄するわけにはいかず、石炭系燃料を技術戦略備蓄事業として位置づけるべきである。大規模な投資は不良資産に変わる可能性が高い。
第2に、化学品及びハイテク材料としての石炭化学工業の道筋を重点的に奨励する。例えば、トルエン、キシレン、エチレン、プロピレン、芳香族炭化水素、オレフィン、エチレングリコールは極めて重要な化学原料であり、石油に代替することになれば、年間1,000万トンの石油輸入を減らすことが出来る。
第3に、石炭のクリーンで効率的な利用を進め、省エネと排出削減を実現する。例えば、石炭系化学肥料の合理的な利用によって化学肥料利用率を35%から55%に高めれば、毎年1,000億元の資金を節減し、省エネと汚染減少にもつながる。
第4に、褐炭のアップグレーディングと利用を適正に進める。中国の褐炭埋蔵量は大きいが、褐炭は灰分と水分が高く含有化学成分も複雑であり、直接使用しても効果と効能が低く、環境への影響も大きい。しかし、アップグレーディングによって先に有用な化学成分を抽出して化学原料とし、アップグレーディングを施した後の褐炭を発電等の燃料とする路線を支持すべきである。
第5に、特殊石油製品を生産する。例えば、酸素含有添加剤DMM3-5は燃料の品質を高め、大気汚染を減らす。
(和訊期貨 8月26日)