石炭は中国国民経済の基幹産業であり、国のエネルギーセキュリティの保障、経済発展の促進、社会の安定などの面で代え難い戦略的地位を備えている。近年、堅調な需要に牽引される形で中国の石炭生産能力は絶えず拡大してきたが、2012年以降は石炭需要の減少、生産能力の過剰、輸入炭の衝撃、水力発電などクリーン・エネルギーからの圧力などで、石炭が暴利を貪っていた時代は終わり、石炭産業は「厳冬期」に入った。石炭産業には大きな困難が生じ、石炭産業をいかにして振興すべきかが大きな焦点になっている。

　1. 石炭産業発展の基本状況

　基礎エネルギーとしての石炭の安全を保証し、産業の持続可能で健全な発展を実現しなければならない。エネルギーセキュリティと持続可能な利用を確保するためには、石炭生産能力を合理的な範囲に抑制することが必要である。生産能力の過剰は資源の浪費や無秩序な競争をもたらし、企業を傷つける。一方、生産能力が低くなると、価格の高騰、川下の製品コスト増や市場価格の変動をもたらす。そのため、総量の基本的バランスを維持し、生産能力を合理的な範囲に抑制することが必要である。現段階では全国の石炭生産量を40億トン前後に安定させるべきである。また、全国の石炭企業は玉石混淆であり、断固整理を進める必要がある。炭鉱事故の全体的な減少は大型炭鉱の建設に負うところが大きい。資源の統廃合は小規模炭鉱の閉鎖と大規模炭鉱の建設の面ですでに成功のノウハウを得ている。

　2. 標準化坑井の建設を推進するには国家レベルの統一的な計画配置が必要
　
全国的に見て、各地の炭鉱運営の標準にはばらつきがあり、炭鉱の建設水準と設備水準には非常に大きい格差がある。各種炭鉱の競争は同じトラックで展開されているわけではなく、特に石炭市場価格の下落が続く状況にあっては、大中型炭鉱企業は普遍的に大きい困難に直面する。こうした状況に対し、国がマクロ調節を行わず、統一的な参入基準を制定しないならば、トップを走る標準化・現代化炭鉱が重大な損害を被り、このままで推移するなら、エネルギーのセキュリティと安全生産も重大なチャレンジに直面する。

　3. 持続可能な標準化建設はエネルギーセキュリティを保障する必然の選択

　(1) セキュリティ能力を高めなければならない。炭鉱職員の生命と財産の安全を重要な基準として、坑井の安全生産水準を高める。安全の保障がない老朽化生産能力は徹底的に淘汰しなければならない。

　(2) 国家統一標準を制定しなければならない。炭鉱の生産方式の改善と標準化建設に当たっては、全国的な一本化が必要である。生産能力の低い炭鉱の退出を徹底することが求められる。そのことは石炭市場を規範化する上でも必要であり、また安全生産やさらにエネルギーセキュリティにとっても必要である。

　(3) 石炭生産能力のマクロ調節が必要である。石炭資源の再生不可能性を十分に考慮に入れて、国家レベルにおいて石炭資源の採掘や備蓄等の面で計画を適正に進め、石炭生産量を合理的な水準に安定させなければならない。また、今後の発展のために余地を残し、炭田を備蓄用とし、新規確認の炭田については開発を禁止する。

　(4) 石炭の価値に回帰しなければならない。石炭の価値の回帰を一種の新常態として位置づけ、石炭価格を合理的な水準に抑制し、産業集中度が高く技術面でリードし安全生産を行う石炭企業が一定の収益の余地を維持できるようにする。企業が先進的な技術と設備を採用し、精密化管理を実施し、産業チェーンを延伸するよう奨励し、もって基礎エネルギーの安全を確保し、持続可能な発展の道筋を実現する。

　（人民政協報 1月11日）