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【新エネルギー】

地熱資源開発には政策的支援が必要 (16/04/12)
2016/4/12
中国【新エネルギー】

 4月7日に開催された第555回香山科学会議において、様々な分野の専門家が「深層地熱エネルギーシステムの理論とシステム工学の集成並びに革新」をテーマに、深層地熱エネルギーの成因と分布、探査と評価、開発と利用などの議題をめぐって徹底した討論を進めた。

 中国工程院エネルギー鉱業学部の多吉院士は次のように表明した。地熱資源はクリーン、高効率、安定、安全などの特長を備えており、スモッグ対策、省エネ・排出削減、エネルギー構造の調整といった面で、かけがえのない役割を発揮することが出来る。しかし、地熱エネルギーの開発と利用には技術の遅れというボトルネックが付きまとい、また、地熱資源の法的概念も曖昧であり、統一的な立法が欠如している。地熱資源は様々な政府部門が管轄し、複数の部門から政策が打ち出される。こうした問題は地熱資源の科学的な計画や合理的な開発を制約し、地熱産業の発展を阻害している。地熱は生まれたばかりの赤ん坊であり、政策支援を供与して成長させることが必要である。先進国は地熱資源の開発利用に財政、金融、資金、課税や融資など様々な面で支援を行なっており、中国も外国の経験を参考に中国の国情や制定済みの再生可能エネルギー優遇政策に基づいて、地熱産業を対象とする財政・租税・融資面上の優遇政策を策定するとともに、炭素取引を推進して、中国の地熱事業の健全で持続可能な発展を促進しなければならない。

 また、中国科学院地質・地球物理研究所の龐忠和研究員は次のように表明した。2008年の北京オリンピックの際に国が政策支援と補助金を適用したため、浅層地熱開発は急速な発展を遂げた。中国の地熱直接利用規模は世界第1位であるが、人口が多いため、1人当たりの利用量でははるかに遅れを取っている。中国の地熱事業は急速に発展しているが、政策環境が十分でなく、財政・租税政策に不備があり、地熱資源の開発と直接利用は阻害されている。

 中国地質大学武漢地球学院の李徳威教授は次のように指摘した。エネルギー生産・消費革命の根本的な道筋はクリーン・エネルギーにある。石炭、石油、天然ガス、シェールガスや原子力とは対照的に地熱エネルギーは尽きることのない再生可能エネルギーである。さらに、風力や太陽エネルギーとは異なり、地熱エネルギーは季節、気候、昼夜の別などによって影響されることがなく、効率的、総合的な利用が可能である。そのため、乾熱岩地熱エネルギーを開発することは中国経済のグリーン(低公害)への転換にとって有用である。地熱エネルギーの研究開発は高度の科学技術を要し、「炭素エネルギー時代」から「地熱エネルギー時代」へと邁進するには、新たな地学革命と新たな産業革命の見地から壮大な青写真を描くことが不可欠である。

 (国土資源部ウェブサイト 4月12日)