1. HOME
  2. 中国 【石炭】

中国
【石炭】

中国 成果を示し始めた脱生産能力 1〜5月期の原炭生産量が前年同期比1億トン以上減少 (16/06/14)
2016/6/14
中国【石炭】

 国家統計局の統計は、中国の石炭の脱生産能力がすでに成果を現し始めたことを示している。

 6月13日に国家統計局が発表した統計によると、5月期の中国の一定規模以上の企業の原炭生産量は2億6,400万トン、前年同月比15.5%の減少になった。1〜5月の原炭生産量は13.4億トン、前年同期比8.4%減になった。すなわち、今年1〜5月の原炭生産量は前年同期に比べ約1.23億トン減少したことになる。

 生産量の低下に伴って石炭価格も静かに上昇しつつある。秦皇島海運石炭交易市場が発表した最新統計によると、環渤海一般炭価格指数(BSPI)は400元/トンにまで反発した。400元の大台に乗ったのは2015年9月以来である。

 石炭企業も値上げを進めている。5月末、中国煤炭工業協会は石炭企業大手4社と北京で「4プラス1」会議を開き、4社の海運石炭価格を5月期より10元/トン引き上げることを決定した。

 汾渭能源の価格グループマネージャー曾浩氏によると、石炭価格の反発は基本的に供給サイドの調整を受けたものであり、特に今年4月から石炭生産大省が年間276日の作業日を厳格に適用し、査定生産能力を16%減らすとともに、法定休日と週末を生産停止にしたことが大きい。その結果、市場への石炭供給の減少がもたらされ、石炭価格の上昇を一定程度支えることになった。

 もっとも、曾浩氏は、石炭価格が上昇を示したものの、そのことは石炭産業が基本面で好転したことを示すものではないと強調する。価格上昇は主に石炭の脱生産能力政策の刺激によるものであり、需要サイドには未だ様相に変化が出ていない。特に製造業の不景気は依然として中国の電力と石炭需要を制約している。能源局が発表した電力消費統計によると、今年1〜4月の全国工業用電力消費量は1兆2,369億kWh、前年同期比でわずか0.2%の増加に止まった。

 曾浩氏の予測によると、これまで脱生産能力行動が強力に進められているため、石炭価格は毎月10元/トンの幅で9月期まで上昇が続き、今年末には5500キロカロリー一般炭は450元/トン前後に上昇する可能性が高い。曾浩氏は、コスト高で生産を停止した企業の損益分岐点にまで石炭価格が上昇すると、一部企業に生産再開の流れも出てくるが、こうした生産再開は持続が難しいと強調する。なぜなら、生産能力が再び増加し始めると、石炭価格に必ず下落が生じるからである。石炭需要サイドに好転が発生するまでは、こうしたサイクルが続く公算である。

 しかしながら、申万宏源の石炭産業アナリストの周泰氏は石炭産業の今後の発展を有望視している。周泰氏は6月13日の電話会議を分析して、石炭産業はすでに新たなサイクルに入ってると分析する。第1段階は需給バランスを目指す段階であり、今年末には実現する公算である。第2段階は石炭供給がタイトになる段階であり、2017年に出現する。第3段階は2018年以降であり、石炭産業に収益が出る見通しである。

 周泰氏によると、現在の中国の1人当たり電力消費量は工業化を達成した典型的先進国との間で極めて大きい格差がある。先進諸国の1人当たり電力消費量は5,000〜5,500kWhであるが、中国は4,000kWh余りであり、第13次5ヵ年計画期にはやや上昇すると予想される。

 周泰氏は、石炭が豊富で石油とガスが乏しい中国にとって、現在及び今後長い期間にわたって発電用エネルギーは依然石炭が主であり、中国経済が回復を開始すると、石炭産業には極めて大きい発展の空間が生まれると指摘する。

 (澎湃新聞 6月14日)