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【石油・天然ガス】

CNPCの「一体化」提案はなぜロシアから拒否されたのか (16/07/05)
2016/7/5
中国【石油・天然ガス】

 ロシアの報道によると、ロシア天然ガス企業Gazpromのミレル社長は6月30日の株主総会において、「シベリアの力−2」事業に関し、Gazpromは中国石油天然ガス集団(CNPC)の提案したいわゆる「一体化」契約を受け入れることは出来ないと表明した。

 「シベリアの力−2」事業とはいかなる事業であるのか、CNPCの「一体化」提案とはどのようなものか、ロシアはなぜこの提案を拒否したのか、以下、一つ一つ見ていくことにする。

 2014年1月9日、プーチンと習近平主席は「シベリアの力-2」(西線とも言う)天然ガスパイプラインの敷設に関する枠組協議に調印し、Gazpromは2020年に中国へその需要総量の5分の1に当たる天然ガスを供給することになった。なお、西線の合意文書調印に先立ち、同年5月には東線建設で合意書に調印した。

 2015年5月、双方は供給条件について合意書に調印した。西シベリア石油ガス鉱区から西線パイプラインによって中国へ天然ガスを供給する計画であり、年間300億m3の天然ガスを供給することが約定された。設計案によると、パイプラインはシベリア南部地区を経由し新疆で中国のパイプラインに接続する。ロシアは西線パイプラインによって、トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタンを相手に中国市場争奪戦を繰り広げる構えを示した。

 然るにその後、CNPCは同事業の契約調印を無期限で延期した。延期の重要な原因の一つは価格問題である。Gazpromは価格面で若干の譲歩を行なうことに同意したものの、建造費の高騰のため大きい譲歩を行なうことは望まなかった。しかしながら、中国側は天然ガスパイプラインの建設をもっと安く上げることは可能であると考え、中国企業が参加する入札を執行することを提案するとともに、ロシア側区間の建設に中国の労働者と設備を使用するという条件を提示した。これがCNPCの「一体化」提案であり、すなわちCNPCはGazpromと共同で採掘、販売及びガスパイプラインの建設と運営を行なおうというものである。しかし、Gazpromはこの一体化契約は受け入れられないと考えたのである。

 ロシアの某研究機関は、CNPCが求めているのは必ずしも一体化契約を実現することではないとの見方を示している。CNPCはガスパイプラインの建設と運営に参加したいと思っているのであり、これは協力パートナーに対し、基礎建設コストをどのように引き下げ、延いては天然ガス価格を引き下げるかその方式を示そうとするものであると見られる。
 
 ロシア側が価格面で譲歩したくないもう一つの理由に、中国は「金持ち」であり、しかも天然ガス需要が極めて大きいということがある。2012〜13年に中国の天然ガス消費量は12〜13%増加した。しかしながら、ロシアは中国の経済成長が鈍化しつつあり、そのため天然ガス需要量も低下する違いないことを軽く見ている。どうやら、露助(原文のニュアンスのまま)が中国の国情があまり分からないようである。

 (龍訊財経 7月5日