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中国
【新エネルギー】

バイオガス産業発展促進指導意見が通達 中国のバイオガス産業化を阻害する2大要因を除去へ (16/09/12)
2016/9/12
中国【新エネルギー】

 国家能源局は先頃《バイオガス産業化発展の促進に関する指導意見》の意見公募版を公示し、2020年には中国のバイオガス年産量を100億m3にし、実証県については天然ガス総消費に占めるバイオガスの比率を30%以上にすることを打ち出した。さらに、2030年には年産量と消費量を400億m3以上とする。バイオガスは発展の黄金期を迎えることになろう。

 中国はバイオガス開発の面で、原材料の十分な供給という優位を備えている。試算によると、新鮮な糞便やくずわらだけでも全国の毎年の生産量は18億トンに達する。これら糞便やくずわらの中で未だ利用されていないものを転化すると、毎年約600億m3のバイオガスの生産が可能になる。これは驚くべき数字であり、中国の昨年の天然ガス消費量の31.06%に相当し、輸入量の96.15%に当たる。バイオガス開発によって環境保護のニーズを満たすだけでなく、中国の天然ガス対外依存度を減らし、エネルギーセキュリティを確保することにもつながる。

 しかしながら、バイオガスには種々の制約要因がある。中国のバイオガス関連産業は未だ規模を形成しておらず、ドイツやスウェーデン等の先進諸国には及ばない。その原因を突き詰めると、2つの問題に行き当たる。一つはバイオガスのコストが高く、ビジネスモデルが成熟していないこと、もう一つはバイオガスの天然ガスパイプライン網への参入に対して市場障壁が存在していることである。

 風力発電や太陽光発電のこれまでの発展からも明らかなように、バイオガスの高いコストは、国の補助金政策の実施と市場応用規模の拡大によって徐々に引き下げることが可能である。一方、市場障壁は人為的な要素が多く、しかも「破壊力」が比較的大きいため、可及的速やかに解決することが求められる。今回の指導意見は、専門的な投資・建設・管理のモデルを速やかに形成すること、県域レベルでバイオガス開発建設の独占経営の仕組みを確立すること、商業化モデルの育成とイノベーションを進めること、バイオガスがバリアフリーで都市ガス網と配電網に参入できるようにすることを打ち出している。これらの要求は正にバイオガス開発の2大障害を対象にしたものである。また、バイオガスをメタン発酵ガスではなく化石系天然ガスのカテゴリーに入れるべきであると提言する学者もいる。これはバイオガスが化石系天然ガスと同様の優遇政策を享受できるようにするためである。一方、メタン発酵肥料は有機肥料の補助金の範疇に入り、メタン発酵肥料の利用体系が整備されることになる。両者はいずれもバイオガスが商業価値を備えるようにして、もっと多くの投資を引き入れ、バイオガスの大規模な発展を促進することが目的である。

 (中国電力報 9月12日)