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【新エネルギー】

DMEが開く石油代替エネルギーの新たな道…中国DMEフォーラムが開催 (08/03/04)
2008/3/5
中国【新エネルギー】

 3月2日、河北省廊坊で、石油製品開発貿易協会と東方石油・天然ガス網の主催、新奥集団の共催による中国DMEサミットフォーラムが開催された。同フォーラムから、中国の当今のDME事情を探った。

 石油需要の拡大と油価高騰によりDMEに発展のチャンス

 国家エネルギー指導小組弁公室の徐錠明副主任はフォーラムの席上、2008年の中国のエネルギー政策を「省エネルギー・新エネルギー・グリーンエネルギー」と概括した上で、グリーンエネルギー開発には、石炭の高度加工、メタノール、DMEが含まれると指摘した。

 IEA(国際エネルギー機関)の予測によると、2010年に中国の石油需要は3.75億トンに達し、2020年には5.03億トンに達するが、2020年の国内石油生産量は2億トン前後であり、石油輸入依存度は55%以上に上昇する。一方、油価の高騰は、中国経済の成長に影響を及ぼすだけでなく、エネルギーセキュリティの面でも脅威となる。そのため、エネルギー構造の調整は不可避である。

 2006年末に開かれた国務院の代替エネルギー会議は、エネルギー開発の基本構想を確定し、在来型エネルギーから新エネルギーに転換し、優越エネルギーを不足エネルギーに取って代わらせ、再生可能エネルギーを化石エネルギーに取って代わらせ、エネルギー構成の中で代替エネルギーの比率を高めると規定した。

 代替エネルギーの開発は、中国のエネルギー資源条件に適合することが必要であり、また、低コストで大規模生産が可能なものでなければならない。中国のエネルギー資源の特徴は、石炭が多く、石油が少なく、天然ガスを有することであり、そのため石炭は中国の中長期的なエネルギーを保証するものとなっている。したがって、石炭資源と天然ガスを基礎にクリーン・エネルギーであるDMEを生産することは必然的に石油資源を補完することになる。

 代替エネルギーとして前途有望なDME

 国家発展改革委員会(NDRC)の2006年の文書では、「DMEは良好な展望を備える代替エネルギーであり、中国のエネルギー構造に適した代替燃料になる。DMEの大規模化、大型化を進める必要がある。DME産業の発展は石炭原料に立脚すべきである」と規定された。

 DME(Dimethylether)の物理的性質は液化石油ガスに極めて近い。腐食性、発ガン性がなく、ほとんど無毒である。飽和蒸気圧は液化ガスよりも低く、貯蔵や輸送は、液化石油ガスよりも安全である。しかも燃焼性能は良好であり、熱効率が高く、燃焼過程で残渣や黒煙を発生しない。一酸化炭素や一酸化窒素の排出量も小さい。超クリーン・エネルギーの一種である。DMEを液化石油ガスや石炭ガス又は天然ガスに混入すると熱量を高めることが出来る。純度95%以上のDMEはそのまま液化ガスに代用することが出来る。DMEのセタン価は軽油よりも高く、軽油の代替燃料としては理想的である。また、DMEは化学工業用原料として使用することも可能であり、スプレーペンキ、殺虫剤、芳香剤、防錆剤や潤滑剤等の製造に利用出来る。

 こうした様々な特長を有するため、ノーベル化学賞受賞者のジョージ・オラー(George Andrew Olah)は、メタノール及びメタノールを主成分とするDME経済はポスト石油・天然ガス時代のエネルギー問題を解決する方途であるとした。DMEはこれにより新世紀のエネルギーと称されるようになった。

 今回のDMEフォーラムにおいて、ある業界関係者は、中国の都市ガス用天然ガスは深刻な不足状態にあると指摘し、LPGの代わりにDMEを民生用及び工業用燃料として使用すれば、天然ガス需給ギャップを大幅に緩和でき、環境保護にも有効であると述べた。

 河北新奥集団の李金来総経理助理によると、DMEが軽油やLNGに代替する場合、高価な油価の下では、DMEはコスト面で大きな優越性を備える。

 しかし、DME産業を発展させるには、克服すべき課題がある。例えば、技術上の難題やコスト引き下げ、政府からの支援などである。

 中国のDMEは今後の発展が期待

 先進諸国ではDMEの生産が早くから開始されており、米国、ドイツ、日本、フランス等のDME年産量はすでに10万トンを超えている。また、この数年、欧州、日本、韓国、ロシア等はDME自動車の市場の将来性と環境効果に着目して、次々とDMEエンジンやDME自動車の研究開発を展開している。さらに、日本に至っては、DME自動車の普及推進に着手している。

 中国のDME生産はスタートが遅れたが、この数年は急速な発展を示している。2002年の全国のDME生産能力はわずか3.18万トン、生産量は約2万トンであったが、2006年末の生産能力は48万トン以上、生産量は32万トンに上った。2010年にDME生産能力は1,580万トンになると見込みである。生産コストの引き下げと燃油税の新設、国内石油価格と国際価格の連動等にともなって、DMEの経済的な競争力はますます高まるだろう。

 科学技術部と上海市政府の支援の下で、上海では10台のDMEバスの研究開発が完了し、全国初のDMEサービス・ステーションも設けられた。DME生産技術の向上と普及によって、DMEはますます身近なものになるだろう。

 (中国石油報 3月4日)