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【原子力】

中国の高温ガス実験炉は世界から注目 (17/10/09)
2017/10/9
中国【原子力】

 中国の原子力発電は今や世界的にも無視軽視できないパワーである。中国核学会理事長で中国工程院院士の李冠興氏は、中国の原子力は大規模発展という新たな時代に進んでおり、中国は原子力発電の中核として、世界の原子力開発に力強い原動力を注入していると表明した。中国の建設中の原子力発電設備規模は世界第1位であり、原子力発電の技術路線は多様である。第三世代原子炉には、海外から導入したAP1000とEPRもあれば、独自開発の「華龍一号」やCAP1400もある。とりわけ、中国が独自に開発と建設を進めている世界発の高温ガス炉実証事業は第四世代原子力発電の安全の特徴を備え、国際的にも注目されている。

 中国の世界初の高温ガス炉事業は順調に進展している。

 華能山東石島湾核電有限公司は中国華能集団の子会社であり、華能集団、中核建設集団及び清華大学の共同出資により設けられた。石島湾原子力発電事業では、すでに完成稼動している清華大学の10MW高温ガス実験炉を基礎に、20万kWの高温ガス炉原子力発電設備を建設する。

 国家科技重大専門事業にも指定されている石島湾高温ガス炉原子力発電所実証事業は2012年末に着工され、現在も建設が進められている。記者が華能山東石島湾核電有限公司を取材したところでは、事務棟、従業員食堂、当直員宿舎、訓練センター、総合倉庫、緊急道路、埠頭等がすでに使用されており、高さ40メートル余りの原子炉建屋が聳え立っている。

 1960年代以降、英国、米国やドイツが高温ガス炉の研究開発を開始し、中国でも1970年代中頃に清華大学原子力研究院が高温ガス炉の研究開発を開始した。2004年9月末、国際原子力機関(IAEA)が清華大学原子力研究院の10NW高温ガス実験炉において安全性検証実験を行った。実験結果によると、冷却能力の全喪失も含めて、深刻な事故が発生した場合でも、人為的な関与がない状態で原子炉は安全状態を維持し、余剰の熱量を排出することが可能である。米国原子力学会のKadak前会長もこの実験炉を高く評価し、「中国の高温ガス実験炉の技術と安全性レベルは世界でもトップを切っている」と述べた。石島湾原子力発電所の原子炉圧力容器は2016年に設置を完了した。圧力容器は高さ約25メートル、重量約610トンになる。上海電気核電設備有限公司が独自に開発、製造し、超大型原子炉圧力容器の国産化を実現している。

 華能山東石島湾核電有限公司の毛巍総経理(社長)によると、高温ガス炉実証事業の圧力容器、主ヘリウム送風機や蒸気発生器などの設備はいずれも国産化を実現している。

 石島湾原子力発電所は山東半島の最東端にあり、立地条件に優れ、地質構造が安定し、津波の発生記録もない。周辺の人口密度は低く、住民移転の必要はない。交通条件や取水条件は良好であり、送電も便利であり、大型原子力発電基地の開発建設条件を備えている。同地には100万kWクラスの加圧水型炉6基も建設される計画であり、計画設備容量は合計800万kW以上になる。

 (毎日中国 10月9日)