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中国
【石油・天然ガス】

ロシアからの石油輸入ルート開拓 メドベージェフ氏に期待 (08/03/18)
2008/3/19
中国【石油・天然ガス】

 ロシアの天然ガス会社ガスプロムの子会社であるガスプロムネフチは、今年4〜12月にカザフスタン−中国原油パイプライン(アタス−アラシャンコウ)によって中国へ108万トンの原油を輸出するよう希望しており、ロシア政府にその旨申請している。これにより、ロシアから中国への第3の石油ルートが開かれることになる。

 ガスプロムネフチの申請内容は、今年第2四半期から、アタス−アラシャンコウパイプラインを通して各四半期に36万トンの石油を中国に輸出するというもの。昨年11月末、ロシアはカザフスタンと石油国際通過輸送協定に調印していたが、この協定によると、ロシアは同パイプライン経由で年間500万トンの石油を中国に輸出することが出来る。但し、ロシアとカザフスタンは関連協定に調印していないため、このルートによるロシアから中国への輸出は未だ行われていない。

 現在、ロシアから中国への石油輸出には、ザバイカリスク−満州里間と、ロシアとモンゴルの国境通商口であるナウシキ経由の、2つの鉄道ルートがあり、中国−カザフスタンパイプライン経由による石油輸出が実現すると、3本目のルートになる。なお、ザイバイカリスク−満州里間の石油輸送は現在も続けられいるが、ナウシキからの輸送は、石油を供給していたユコス社が苦境に陥ったため、現在停止されている。但し、ロシア側は別の会社によって対中輸出の契約を履行すると表明している。

 近年、ロシアは対中石油輸送ルートの開拓に努めている。中露両国は将来の主要な中露石油輸送ルートとして、ESPO(東シベリアー太平洋)石油パイプラインから中国への支線を建設することを決定していた。しかし、ESPOパイプライン建設は滞っている。

 もっとも、メドベージェフ次期大統領は、ESPOパイプラインについては前向きであり、先月7日にハバロフスクで開かれた会議において、産業エネルギー相フリステンコとトランスネフチ総裁トカレフに対し、年内にESPOパイプライン第1期工事を終えるよう厳命した。中国支線についても、メドベージェフは建設の意思を表明している。

 然るに、ESPOパイプラインをめぐっては、ロシア国内の利害対立など消極的な要因も依然存在している。例えば、トランスネフチとロシア鉄道との間には利益の分配をめぐる葛藤がある。ロシア鉄道は、ESPOパイプラインとその中国支線が開通すると、現在の鉄道による対中石油輸送というビッグビジネスがなくなるのではないかと憂慮しているのである。ロシア鉄道の幹部によると、中国への原油輸送量が年間3,000万トンを割り込むと、パイプラインに太刀打ちできなくなる。この点につき、運輸相レビチンとロシア鉄道副総裁ババエフが、既存の鉄道を改造することによって対中原油輸送能力を拡大すると表明したことは注目に値する。関係者の一部には、まずパイプラインによって原油を輸送してから、鉄道に積み替え、改めて中国のパイプラインに入れるという折衷案を提唱する者もいる。

 トランスネフチとロシア鉄道の間の調整はロシア政府が責任を負うが、利益分配問題の行方は未だ不透明である。

(国際先導駆報 3月18日)