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【石油・天然ガス】

プーチンが人民元の国際化を称揚 ロシアの意図は中露エネルギー協力か (18/07/31)
2018/7/31
中国【石油・天然ガス】

 BRICSサミットにおいて、ロシアのプーチン大統領は米ドルを非難し、「米ドル決済の制限措置は米国の重大な戦略的誤りであり、準備通貨としての米ドルの信認を揺るがしている」と述べた。

 プーチンはその一方で、人民元を持ち上げ、人民元は米ドルと同様の準備通貨としての特性を備え始め、しかもこのプロセスは加速することになるとの認識を示した。プーチンのこの発言は石油分野における中国との重要な協力のシグナルであると分析される。

 脱ドル化を加速 すでに米国債の90%を売却か

 米国財務省が発表した国際証券投資統計(TIC)によると、ロシアは最近、米国債の保有量を減らしており、すでに90%手放している。

 ロシア側はこのことについて、ロシア企業が米国の制裁圧力に直面し、米国債の大量放出を行ってリスクを下げることを余儀なくされたためと説明している。

 米ドルは世界の準備通貨であり、あらゆる貿易においてドル決済を要する。米国が特定の国の制裁を行えば、その国の経済に深刻な影響を及ぼす。

 ロシアは米国債の売却と同時に人民元の買入を開始

 ロシアは米国債を売却すると同時に、人民元資産の大量買入を進めており、このことはプーチンの発言を裏付けている。

 ロシアは早くも昨年下半期に120億ドル近くの人民元資産を買い入れ、人民元保有ペースは世界の他のどの国をも上回っている。

 また、国際通貨基金(IMF)の最新データによると、今年第1四半期の世界の外貨準備に占める米国のシェアは4年来の最低になり、一方、人民元のシェアは3四半期連続で上昇、昨年第4四半期の1.23%から1.39%に上昇した。

 人民元持ち上げの背景 プーチンは中国のエネルギー市場開拓の意向か

 プーチンが人民元を持ち上げ、人民元資産を大規模に買い入れていることには1つの目的がある。中露間のエネルギー貿易を拡大し、中国の広大なエネルギー市場を開拓するということである。

 ロシアは大量の石油・天然ガス資源を有し、一方、中国は世界最大の石油輸入国である。中国とロシアのエネルギー協力には無限のポテンシャルがある。

 プーチンは中露間の貿易規模を拡大することを望んでいる。特に石油については、これまで米ドル建てで価格を決定し、産油国としてのロシアはこうした面で米国からの掣肘を受けざるを得ない。

 しかし、もし人民元が米ドルの包囲を突破して、中露間の石油の人民元決済を実現できれば、中露両国のいずれにとってもメリットが多い。

 プーチンが米ドルを非難し人民元を持ち上げた原因はこの点にある。

 (鳳凰網財経 7月31日)