1. HOME
  2. 中国 【電力】

中国
【電力】

水力発電開発に当たっては生態環境に配慮しない過度の開発を厳しく規制…能源局長 (08/05/09)
2008/5/12
中国【電力】

 中国では火力発電が急拡大し、標準炭換算で年間13億tceを消費する一方、クリーンで再生可能な水力エネルギーの利用効率は低く、電力構造に占める水力発電の比率はむしろ下がっている。こうした現状に対し、国家能源局の張国宝局長は8日、中国電力報社が主催した「中国水力発電開発フォーラム」において、引き続き水力発電資源の開発と管理を強化するとともに、生態環境に配慮しない過度の水力発電開発を厳しく規制すると表明した。

 張局長によると、石炭を中心とするエネルギー消費に起因する環境汚染、生態破壊、酸性雨等の問題は日増しに深刻化している。2007年には石炭生産量のほぼ半分に当たる13億tceが火力発電で消費された。

 一方、中国には豊かな水力資源があるが、未だに利用率は低く、その開発率は米国や日本の約70%という先進国平均水準をはるかに下回っている。中国の水力発電設備容量は、2007年末に1.45億kWに達したものの、火力発電の伸びの方が速いため、全国の発電設備容量に占める比率はむしろ下がっており、現在は20%でしかない。

 再生可能エネルギー中長期計画によると、2010年には在来型水力発電設備容量は1.8億kW、揚水式発電所の設備容量は1,800万kW、水力発電開発率は33%になる。さらに、2020年には、在来型水力発電は3億kW、揚水式は5,000万kW、開発率は55%に達する。

水力発電開発が進む中、張局長は、一部地区の水力発電の過剰開発を批判し、地方に対し水力発電開発に当たっては生態環境に配慮しない過度の開発を厳しく規制するよう求めた。

 張局長は、今後中国は水力発電開発に当たり、単純な水力発電事業から生態水力発電への転換と、純粋技術事業から社会事業への転換という2大転換を実現するとし、また、移転住民の利益や環境の保護をより一層重視するとして、水力発電開発を水資源の総合利用や生態建設と有機的に結合させ、地域経済の持続可能な発展を促進すると表明した。

 (中国能源網 5月9日)