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【電力】

北京・天津・唐山地区の発電用石炭備蓄もピンチに (08/05/07)
2008/5/8
中国【電力】

 国家電網公司のデータから、6日時点の北京・天津・唐山地区の発電用石炭備蓄はわずか95万トン、多くとも5日分に落ちていることが分かった。

 国家電網公司関係者によると、5月4日の時点で石炭不足が原因で停止状態になっている同地区の発電機容量はすでに90万kWを超えてい。さらに、国家電網系統内で発電用石炭在庫が3日未満の最低警戒ラインを下回った発電所は55件に達している。

 南方電網も加えると、石炭不足の影響の及んでいる発電機容量は7,000万kWに上り、重慶、安徽等でも発電用石炭備蓄が7日未満の警戒ラインを下回っている。

 中国電力企業聯合会が先頃公布した「電力事業第1四半期電力需給及び経営情勢報告」でも指摘されているように、発電用石炭備蓄の減少が続くため、火力発電の能力は深刻な制約を受けることになる。また、同報告は、2008年上半期の電力使用量の増加率が13.5%前後にまで高まると予想している。

 3月末の全国の発電用石炭備蓄は2,266万トンで、前年同期比389万トン減少し、12日分となった。前述の国家電網公司筋は、3月以降現在に到るまで石炭供給量の大幅な低下が続いていると明かした。

 中国社会科学院の専門家の分析では、大雪災害の後、発電用石炭の危機は一息付いたものの、石炭企業の生産能力に問題が生じ、一方、発電企業も高価な石炭の購入のための出費を惜しむようになったため、発電用石炭の需給ギャップが再び激化している。石炭価格高騰のため、発電企業は石炭購入に前向きでなくなっていると、この専門家は指摘する。

 電力監督管理委員会の関係者は、発電用石炭の逼迫は、実際には大雪災害以前から生じており、むしろ大雪災害が問題の本質を隠していたと指摘する。発電用石炭逼迫問題は中国の電力エネルギーの構造的な不合理に帰結するのであり、こうした問題は根本的には全く解決されていない。

 社会科学院工業経済研究所の匿名希望の研究員もまた、「当面の発電用石炭不足は結局『市場』と『計画』の矛盾に帰結する」と説く。

 一方、国家発展改革委員会(NDRC)は、当面の石炭、電力、経済運営をめぐっては次の3つの問題があると指摘している。第1に、石炭需給の構造的なギャップが依然存在している。第2に、石炭価格の上昇が急速であり、そのため下流の石炭使用産業のコストが上昇している。第3に、気候変動等の不確実要因が石炭と電力の需給に影響を与えている。

 国家電網公司はすでに北京・天津・唐山地区の発電用石炭備蓄低下の状況を発展改革委員会に報告するとともに、内蒙古電力、西北電網等から電力を緊急に調達して華北電網を支援している。

 (第一財経日報 5月7日)