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【エネルギー全般・政治経済】

【論説】中国訪問でメドベージェフ流「エネルギー外交」を示した露大統領 (08/05/29)
2008/5/30
中国【エネルギー全般・政治経済】

 5月23〜24日に中国を公式訪問したロシアのメドベージェフ大統領は、その直前のカザフスタン訪問とも合わせて、プーチンの「エネルギー外交」を継続する意思を示した。

 中露エネルギー協力の強化

 今回のメドベージェフ大統領の訪中は大きな成果を上げたが、特に「中露首脳北京会談共同声明」の中で、中露の戦略的パートナーシップの重要な要素としてのエネルギー協力について、具体的な提案を打ち出し、中露両国は引き続き石油・天然ガス分野及び電力分野における協力を展開することになった。また、副首相級のエネルギー協議機関が設けられることになった。

 その他にも、原子力分野における協力もますます深まった。両国は、ロシアから中国へのウラン濃縮サービスやウラン濃縮製品の提供について関連協定に調印したのである。

 東に目を向け始めたロシアのエネルギー外交

 ロシアのメディアは「東に目を向けるロシアのエネルギー外交」として、メドベージェフ訪中の意義を評価した。例えば、ロシア科学院極東研究所のオスロトロフスキー副所長は、中露両国がエネルギー対話を展開することは、両国がエネルギーセキュリティを確立する前提であり、世界のエネルギー地図を塗り替えることも期待できると指摘した。

 また、オスロトロフスキー副所長は、中露両国を繋ぐ天然ガスパイプラインプロジェクト(アルタイから新疆への西ルート及びサハリンと大慶を結ぶ東ルート)が実施に移されると、ロシアの天然ガス価格に対する西側の発言権を打破することが出来るとの考えを示し、「ロシアは西側だけでなく、東にも目を向けるべきだ」と述べた。

 エネルギーカードの切り方もメドベージェフ流に

 エネルギーを「武器」とするプーチン外交は大きな印象を残したが、メドベージェフは今後どのような形でエネルギーカードを切るのだろうか。

 第1に、メドベージェフは協力対象の多元化を考えている。つまり、従来の欧州市場と同時に、アジア・太平洋市場を積極的に開発するのである。メドベージェフが大統領就任前にロシアと欧州を結ぶサウス・ストリーム天然ガスパイプライン敷設に関するブルガリアとの政府間協定を取りまとめた際、同パイプラインプロジェクトは欧州諸国のエネルギー源の多元化を保障するものであると強調していた。

 また、アジアについては、訪中前に取材を受けたメドベージェフは、中露エネルギー協力は両国の経済貿易関係の中でも重要な事柄であるとし、ESPOパイプライン(東シベリア−太平洋石油パイプライン)中国支線をめぐる中露交渉は終盤に入っていると言及した。

 第2に、メドベージェフは協力方式の多元化を進めている。すなわち、石油・天然ガスの上流の探査開発分野だけでなく、エネルギーの高度加工や販売等の下流領域でも協力を進めるという構想である。メドベージェフは、中国メディアの共同取材に対し、中露間の協力はパイプラインやその支線だけに止まらず、製油所や、サービスステーションのネットワークの建設にも及ぶと表明した。

 (世界新聞報 5月29日)