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【省エネ・環境】

CO2排出量取引 中国にとって最後のビジネスチャンス (08/06/02)
2008/6/3
中国【省エネ・環境】

 「京都議定書」のCO2排出量取引において最大の売り手である中国は目下150億ドルのビジネスチャンスに直面していると同時に、世界第2のCO2排出国として、排出削減の大きな負担を背負うことにもなる。

 中国のCDM事業を牽引する科技部地球環境弁公室の呂学都副主任は、現在の世界CO2排出量取引の市場規模は600億ドルであるが、将来は2,000〜2,500億ドルに達し、中国はその4分の1のシェアを占めることになると指摘する。先進国は2012年までに温室効果ガスの排出を50億トン削減するという目標を達成しなければならず、今から2012年までが、中国にとって最後のビジネスチャンスになると呂学都副主任は言う。

 150億ドルのビジネスチャンスに対しては、国内のCDM企業が好感している。登録済みの中国のCDM事業は200件余りに上り、多くの化学企業が恩恵を受けている。

 中国初のCDM事業で利益を得たのは北京済豊実業投資管理公司。同公司が開発した埋め立て地ガス回収利用プロジェクトが完成すると、10年以内にCO2削減可能量は約80万トンになる。この排出量はオランダ国際エネルギーシステムに販売された。発展改革委員会の規定したトン当たり8ドル以上の価格で計算すると、10年間の収益は800万ドルになる。

 発展途上国である中国は、現在CO2削減義務を負う必要はないが、2012年に「京都議定書」が満期を迎え「ポスト京都議定書」時代に入ると、中国はCO2排出削減の割当を受ける試練に立たされる。

 世界自然保護基金(WWF)が5月27日に発表したレポートは、中国の都市化と現代化の加速が高水準のエネルギー消費とCO2排出の原因になっているとの見方を示した。

 「中国は世界第2の排出国であり、世界の総排出量の13%を占めている。経済成長の続く中国は早晩気候変動の矢面に立たされる」と発展改革委員会能源研究所の李俊峰副所長は警告を鳴らし、中国企業は省エネ・排出削減のための改造を急ぐべきであると提言する。

 省エネ・排出削減は今や中国の関連産業政策にも盛り込まれている。5月27日、発展改革委員会と世界自然保護基金は上海と河北省保定市を低炭素都市開発試験プロジェクト都市に選定した。上海は先進的大都市の代表、保定市は汚染の深刻な中小都市の典型として、建築省エネ、再生可能エネルギーや、省エネ製品の製造及び応用等の分野で、低炭素開発の解決案を模索するとともに、実行可能なモデルを総括して今後、全国にも広げていくことになる。

 前述の李俊峰能源研究所副所長によると、発展改革委員会は6月に重点企業1,000社と省クラス政府の省エネ・排出削減状況を公表し、目標を達成出来ていない重点企業に対しては期限付の改善を命じて、単位GDP当たりのエネルギー消費と汚染物の排出総量をさらに引き下げるよう努める。低炭素経済の推進は今や国家重要経済戦略にまで高められていると李俊峰副所長は言う。

 (中国経営報 6月2日)