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【新エネルギー】

廃油原料の価格高騰と入手難でバイオディーゼル生産が停滞 (08/06/06)
2008/6/9
中国【新エネルギー】

 バイオディーゼルブームに乗って建設された青島市のバイオディーゼル工場は、原料である飲食業からの廃油が価格高騰で入手難になったため、正常な生産が出来なくなっている。

 その1つである広源発生物柴油は2005年以来、豚脂や廃油によるバイオディーゼル精製の研究に取り組み、2006年7月に1,000万元近くを投じて年産4万トンのバイオディーゼル工場を建設した。当初は価格が低廉で品質が高く売れ行きは上々であった。しかし、操業開始から半月もしないうちに、在庫の30トン余りの廃油や豚脂等の原料を使い尽くしたが、その後の材料調達が続かず、操業開始早々から半年、生産ラインの停止を余儀なくされている。また、青島市と済南市に生産工場を建設した青島緑諾新能源公司は、年産能力合計3万トンになるが、年間稼働時間は1ヵ月足らずでしかない。同社のバイオディーゼル生産技術は成熟しており、販路にも問題はないが、やはり原料不足が致命的な問題になる。

 こうした企業は、投資前に十分な調査を行い、バイオディーゼル生産に要する廃油は地元に消費しきれないほどあるとされていた。調査時における廃油の原価は低廉であり、基本的には無料で飲食業から回収でき、回収のための人件費を加算しても廃油は1トン当たり1,000元前後に過ぎず、一方、バイオディーゼル精製の総コストは1トン2,000元足らずで、当時の軽油価格をはるかに下回っていた。

 しかし、落花生油、豚脂等の食用油価格が急騰し、それに伴い廃油価格も高騰した。不法業者は廃油を沈殿、加工してから、飼料用として、又は大衆食堂用として売るが、その利益はバイオディーゼルを精製するよりも大きい。現在、廃油価格はトン当たり5,800〜6,000元に高騰しているが、軽油価格は7,600元に止まっている。人件費、設備、輸送等のコストを加算すると、廃油によってバイオディーゼルを生産していては赤字になる。これに対し、廃油を使って飼料油を生産すると、トン当たり9,000元で販売することが出来る。さらに、廃油で食用油を製造するとさらに高く売れる。そのため、大量の廃油が飼料油や食用油の方へ流れているのである。莱西市で間もなく操業を開始する年産3万トンのバイオディーゼル企業も原料問題に頭を悩ませている。同地でも廃油価格が5,900元に達しており、この価格では企業が収益を確保することは根本的に不可能である。

 青島でバイオディーゼル事業への進出を検討している深センの某社も、最大の障害は原料の不安定であると指摘する。青島のバイオディーゼル産業は技術、設備、販路等は問題がないが、原料問題が決定的な要因になる。この問題を解決するため、同社はあらゆる方法を尽くして原料供給源の拡大を図っており、すでに湖北省の関係機関と3万ムーのヤトロファ栽培拠点を建設するよう準備を進めている。ヤトロファを原料にすることが出来れば、廃油不足は問題でなくなるが、しかし、ヤトロファが収穫出来るようになるまでには5年間を要する。

 青島市社会科学院経済研究所の専門家は、行政を強化して、廃油の流れを規制すべきであると言う。そうすれば、消費者の利益を保護し、油脂による環境破壊を減らせるとともに、バイオディーゼル産業を保護し、当面の軽油の逼迫を緩和することも出来る。企業の市場活動に依存するだけでは、産業は健全な成長を歩むことは出来ない。政府は調整手段を運用してバイオディーゼル産業を支援すべきであると、この専門家は指摘する。

 (半島都市報 6月6日)