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【エネルギー全般・政治経済】

【論説】エネルギー助成は需要を刺激するのか (08/06/10)
2008/6/10
中国【エネルギー全般・政治経済】

 エネルギー助成は需要を刺激するのか 第一財経日報 林純潔

原油高に伴い、各国のエネルギー助成が焦点になっている。エネルギー助成は原油需要にどのような影響を及ぼすのか。いつまで続くのかは世界的な問題となっている。

 モーガン・スタンレーのデータによると、現在、世界の人口の半分がエネルギー助成を受けており、これらの人口が世界の原油の4分の1を消費しているという。

 助成によって各国の石油製品価格に大きな差が生まれている。例えば、ベネズエラのガソリンは1リッター5セント、一方、ドイツは2.3ドル超になる。今年の初め頃、中国のガソリン価格は米国とほとんど同じであったが、今や40%前後の差額が出ている。

 資源輸出国を除いて、こうしたエネルギー助成は政府の巨額の支出を意味する。油価高騰に伴い、政府の圧力はますます増大している。

 原油の75%を輸入に依存するインドのエネルギー助成額は昨年87億ドル、GDPに占める比率は0.7%であったが、油価が130ドル前後で推移した場合、今年の助成額は290億ドルを超え、GDPの2.2%を占めることになる。一方、中国のエネルギー助成がGDPに占める割合は1%未満である。

 巨額の財政圧力に堪えられない国もある。インドネシアは5月24日、燃料価格を30%引き上げた。もし値上げしなければ、政府の助成金はGDPの3%に達するだろう。

 しかし、助成の停止は容易なことではない。エネルギーに対する助成の停止や引き下げはインフレの大幅な昂進を意味しており、世界的にインフレ圧力が高まる状況にあっては、歓迎されることではない。インドネシアの燃料値上げによって政府の負担は軽減されたものの、インフレ率は9%から12%に高まった。

 こうした諸国にとっては、財政収支のバランスを取るか、それとも物価の安定を取るのか、極めて難しい選択になる。今年のマレーシアのインフレ率はアジアの新興市場の中では最も低いが、その代償は大きく、同国のエネルギー助成はGDPの7%に達している。

 エネルギー助成は、理論的には需要を刺激する作用がある。エネルギー助成政策によって石油製品価格が低めに維持されると、油価の高騰が需要に影響を及ぼすことが出来なくなる。エネルギー助成が批判される所以である。

 しかし、実際の状況はこれとは異なる。エネルギー助成措置を取る国は往々にして為替管理制度を実施しており、このため、これら諸国は油価が低く評価されているのか、為替レートが低く評価されているのか、判別は難しい。中国を例に取ると、上海の1時間当たりの最低賃金では93号ガソリン1.5リッター足らずしか買えないが、米国では1時間当たりの最低賃金で7リッターのガソリンを買うことが出来る。

 こうした国々の経済がもし完全な市場化を実現した場合、需要の引き下げにつながるのかどうかは未知数である。

 (第一財経日報 6月10日)