6月1日からベトナム政府は中越国境のクアンニン省Van Gia通商口の国境石炭貿易を停止し、国家間正規貿易に改めた。また、ベトナムは今年の石炭輸出を32%減らし、特に中国への輸出を19%削減するとともに、その後も徐々に輸出を減らしていくよう計画している。中越石炭貿易に変化が生じ、ベトナムが対中石炭輸出の削減を開始する中、広西自治区や広東省の発電企業は着々と手を打っている。 エネルギー問題は広西自治区の発展を制約している。北部湾経済区の建設開始などで広西のエネルギー需要は急速に拡大しており、広西はエネルギー供給問題の解決に全力を挙げている。 広西や広東は中国北部の石炭生産地区からあまりにも遠く、需要家の多くは高騰する輸送費を負担することが出来ない。むしろベトナムなど東南アジアから石炭を輸入する方がコスト節約になる。例えば、貴州省から広西にトラックで20トン超の石炭を運ぶと、1トン当たりの輸送費は200元前後になるのに対し、ベトナムからの海運費は非常に安い。これまで、国境貿易業者はベトナムから船で20トン余りの石炭を広西に輸送すると、数百元の儲けが出た。しかし、国境貿易から正規貿易に変わってからは関税を納付しなければならず、収益の余地が縮小し、中小貿易業者の商売が成り立たなくなった。今後は、多くの発電所がベトナムの石炭会社と売買契約を結ぶようになるだろう。 建設資金が十分でないベトナムはこれまで中国に石炭を輸出するとともに、広東・広西の発電所からベトナムへの送電を希望していた。しかし、近年、ベトナム政府は、中国からの電力供給に依存するのは安全ではないと考えるようになり、中国も含む投資家がベトナムの発電所に投資することを希望するようになった。石炭輸出が減り始めたのはそのせいである。煤炭網のアナリストである趙玉偉氏によると、今年はベトナムからの石炭輸入が初めて低下し、中越石炭貿易の転換点になるだろう。今年1〜5月のベトナムの石炭生産量は前年同期比10.7%増加したにも関わらず、石炭輸出は15.7%低下しているのである。 さらに、ベトナムは建設需要を賄う必要があり、そのため、国内の石炭需要は次第に拡大する。趙玉偉氏は、「ベトナムは2010年以降、石炭を輸入するようになり、2010年は130万トン、2015年は590万トン、2020年は1,540万トン、2025年は5,440万トンの石炭輸入を計画している」と指摘する。 ベトナムが石炭輸出を大幅に減らすことで最も大きな衝撃を受けるのは広東と広西である。広東と広西は目下対策に追われている。 趙玉偉氏によると、貴州省と広西自治区の交通ルートが開かれれば、貴州の石炭を広西と広東へ大量に輸送することが出来るようになる。貴州は西南地区最大の石炭生産省であり、昨年の生産量は1億トンに上る。輸送のボトルネックさえ解決できれば、輸送量は拡大するのである。 しかし、石炭のみに依存していてはエネルギーの安全を確保できない。そのため、広西は原子力発電プロジェクトを中央政府に申請している。その他にも、水力発電開発や新エネルギーの開発など様々な手を打っている。広西自治区は、4月15日、中国初の非穀物系バイオエタノール生産省になると宣言した。 また、広東・広西の電力企業は安定的な原料供給を期するため、海外の石炭会社に資本参加するなど海外進出を進めている。この面では広東粤電集団が中国においても先頭を走っている。広東・広西の企業はエネルギー供給を確保するため、早くから準備を進めているのである。 (華夏時報 6月10日)
6月1日からベトナム政府は中越国境のクアンニン省Van Gia通商口の国境石炭貿易を停止し、国家間正規貿易に改めた。また、ベトナムは今年の石炭輸出を32%減らし、特に中国への輸出を19%削減するとともに、その後も徐々に輸出を減らしていくよう計画している。中越石炭貿易に変化が生じ、ベトナムが対中石炭輸出の削減を開始する中、広西自治区や広東省の発電企業は着々と手を打っている。
エネルギー問題は広西自治区の発展を制約している。北部湾経済区の建設開始などで広西のエネルギー需要は急速に拡大しており、広西はエネルギー供給問題の解決に全力を挙げている。
広西や広東は中国北部の石炭生産地区からあまりにも遠く、需要家の多くは高騰する輸送費を負担することが出来ない。むしろベトナムなど東南アジアから石炭を輸入する方がコスト節約になる。例えば、貴州省から広西にトラックで20トン超の石炭を運ぶと、1トン当たりの輸送費は200元前後になるのに対し、ベトナムからの海運費は非常に安い。これまで、国境貿易業者はベトナムから船で20トン余りの石炭を広西に輸送すると、数百元の儲けが出た。しかし、国境貿易から正規貿易に変わってからは関税を納付しなければならず、収益の余地が縮小し、中小貿易業者の商売が成り立たなくなった。今後は、多くの発電所がベトナムの石炭会社と売買契約を結ぶようになるだろう。
建設資金が十分でないベトナムはこれまで中国に石炭を輸出するとともに、広東・広西の発電所からベトナムへの送電を希望していた。しかし、近年、ベトナム政府は、中国からの電力供給に依存するのは安全ではないと考えるようになり、中国も含む投資家がベトナムの発電所に投資することを希望するようになった。石炭輸出が減り始めたのはそのせいである。煤炭網のアナリストである趙玉偉氏によると、今年はベトナムからの石炭輸入が初めて低下し、中越石炭貿易の転換点になるだろう。今年1〜5月のベトナムの石炭生産量は前年同期比10.7%増加したにも関わらず、石炭輸出は15.7%低下しているのである。
さらに、ベトナムは建設需要を賄う必要があり、そのため、国内の石炭需要は次第に拡大する。趙玉偉氏は、「ベトナムは2010年以降、石炭を輸入するようになり、2010年は130万トン、2015年は590万トン、2020年は1,540万トン、2025年は5,440万トンの石炭輸入を計画している」と指摘する。
ベトナムが石炭輸出を大幅に減らすことで最も大きな衝撃を受けるのは広東と広西である。広東と広西は目下対策に追われている。
趙玉偉氏によると、貴州省と広西自治区の交通ルートが開かれれば、貴州の石炭を広西と広東へ大量に輸送することが出来るようになる。貴州は西南地区最大の石炭生産省であり、昨年の生産量は1億トンに上る。輸送のボトルネックさえ解決できれば、輸送量は拡大するのである。
しかし、石炭のみに依存していてはエネルギーの安全を確保できない。そのため、広西は原子力発電プロジェクトを中央政府に申請している。その他にも、水力発電開発や新エネルギーの開発など様々な手を打っている。広西自治区は、4月15日、中国初の非穀物系バイオエタノール生産省になると宣言した。
また、広東・広西の電力企業は安定的な原料供給を期するため、海外の石炭会社に資本参加するなど海外進出を進めている。この面では広東粤電集団が中国においても先頭を走っている。広東・広西の企業はエネルギー供給を確保するため、早くから準備を進めているのである。
(華夏時報 6月10日)